SharePoint コラム 第1回 「SharePoint Team Services:”チームに向けて”、そこから歴史は始まった。」



旅立ちの日

ガサゴソ。。。ガサゴソ。。。

ポチッ。
ガサゴソ。。。ガサゴソ。。。
ビルくん
あれ、、、Edge君。。。何を調べてるのかな?
エッジくん
あっ。あの、えっと。。。
僕が生まれてから、沢山の人が僕を利用して、Office365のSharePoint Onlineっていうのを使用してくれているけど、僕、SharePointって何なのか分からなくって。。
ビルくん
なるほど。
確かにSharePointって、いろいろな事に利用されているけど、その姿が見えにくいから、分かりにくいかもしれないね。
それで、検索してみて、答えは見つかったかい?
エッジくん
ううん。。
ポータルっていう人や、プラットフォームっていう人もいて、よく分からないんだ。
ビルくん
確かにSharePointって、いろいろな事に使えるから、使う人次第で、SharePointが何なのかの定義も変わってくるかもしれないね。
例えば「図書館とは?」と聞かれて「本を借りる事ができる施設」と答える人もいれば、「無料で勉強できる場所」と答える人もいるだろうね。
エッジくん
なるほど。
それなら、SharePointの事を知りたければ、SharePointで何ができるかが分かればいいんだね。
ビルくん
そうだね。SharePointが提供する機能を1つひとつ利用してみるといいと思うよ。
そういった機能をたくさん使っているうちに、SharePointって、こういうものだ、っていう事が分かるようになるよ。
エッジくん
え~、、、、、めんどくさい。。。
SharePointってたくさん機能あるんでしょ。
ビルくん
う~ん。。。。
SharePointでできる事はいっぱいあるけど、みんながよく使う機能は、だいたい一緒だよ。
エッジくん
その機能は、昔からよく使われてるってこと?
ビルくん
うん。その通り!
エッジくん
じゃあ僕は、昔のSharePointを見てみたい!
その頃からある機能を勉強すれば、SharePointの事が分かるって事でしょ。
ビルくん
そうだね。
それじゃ、昔のSharePointのトップページをEdge君に見てもらう事にしょう。
エッジくん
任せといて!さあ、早くいこっ!

SharePointの歴史

そんなわけでEdge君と一緒に、SharePointの機能を過去から振り返る事になったのですが、皆さんはSharePointのこと、そして、その歴史をご存知ですか?

SharePointは2001年に誕生し、今年で15歳の誕生日を迎えました。
この間、SharePointは幾度かのバージョンアップを繰り返しつつ、現在では、Cloud Firstの精神の元、その流れをCloudにシフトしています。

このシリーズでは、このSharePointの流れを誕生から振り返り、各過去バージョンで使える機能やその製品の意図を、Edge君から見たインターフェースを元に、簡単にご紹介したいと思います。

また、ただ単に過去バージョンをご紹介するだけでなく、過去バージョンのTipsやノウハウを綴るとともに、過去から学ぶ”今のSharePoint”でも役立つ情報をお届けいたします。

さあ、前置きはこの辺にして、Edge君と歴史探訪の旅へ、早速、出発しましょう。

SharePointの誕生

2001年:SharePoint Team ServicesとMicrosoft SharePoint Portal Server 2001のリリース

“SharePoint”の単語は、2001年に提供開始されたSharePoint Team ServicesとMicrosoft SharePoint Portal Server 2001において初めて使われました。
SharePoint Team ServicesはWebベースでの情報共有を目的とした”チーム”向け製品として、Microsoft SharePoint Portal Server 2001は、エンタープライズでの情報共有を促進する”ポータル”製品として提供されました。
この2製品は、その後のバージョンアップで統合への道を辿るのですが、この時点では、”小規模向け(無償版)”、”エンタープライズ向け(有償版)”というターゲットをそのままに、実現する機能に重複はあるものの、それぞれ別製品として提供されていました。
(同一サーバーに両方をインストールする事もできません)

先ずは、SharePoint Team Servicesを取り上げてみましょう。

SharePoint Team Services

SharePoint Team Servicesは、チームやプロジェクトにおいて、簡易に情報連携ができるような環境を提供する事を目的として、Office XPの製品の一部として提供されました。

最新のSharePoint同様、インストールにはSQL Server(7.0以降)を必要としますが、インストール時にSQL Serverがインストールされていない場合でも、Expressの前身であるMSDE (Microsoft Data Engine)が自動的にインストールされ、使用されます。
この自動的にSharePointインストール時に同時にデータベースも作成される仕様は、対象を変えながらも、SharePoint 2016にてFoundationが廃止されるまで継続されます。

それでは、お待たせしました。
Edge君に画面を見てもらいましょう。

エッジくん
それじゃ、トップページを見てみるね。

きれいに標準画面が表示されました。

エッジくん
SharePoint Onlineの画面とは全然違うけど、リスト、ドキュメントやディスカッション掲示板は、アプリとして見たことがあるよ。

最新のSharePoint OnlineやSharePoint Server 2016では、アプリとして提供されている共有ドキュメント、ディスカッション、リスト、アドレス帳、タスクリスト、予定表、リンク集など、情報共有に必要なものが予め用意されている事がわかります。

これは、SharePoint Team Servicesが目指す、簡易に情報共有を行うことの場を作成する、という目的に沿ったものです。

現在のSharePointのように、サイトコレクションやサイトを作成し、必要とするものを追加するのではなく、インストールした直後から、ある程度の”情報共有の場”が作成されておりすぐに使えるのが特長です。

これらの、共有ドキュメントやリストは、最新のSharePointのドキュメントライブラリやカスタムリストとほぼ同等の機能を備え、現在と同じように使用する事ができます。 (ただし、フォルダの作成や履歴管理など、この時点で実装されていない機能も存在します)

なお、この画面は、FrontPageの技術を用いて作られており、Microsoft FrontPage Server 2002でカスタマイズする事が可能です。(このFrontPageの技術は、この後、SharePoint Designerへと引き継がれていきます)

また、現在のSharePointのURLの拡張子には、ASP.netの拡張子である.aspxが利用されておりますが、この頃のURLでは静的な.htmが使われています。

それでは、次に、SharePointの全体管理画面にあたる管理ページをEdge君に見てもらいましょうか。

エッジくん
こっちも、きれいに見る事ができたね。
あれっ、でも、全体管理ページのはずが、タイトルにサイトの管理ってあるよ?

この製品では、現在のSharePointの管理ページとなる全体管理ページは存在しません。管理ページは、サイトの管理ページのみとなり、サイトの管理がサーバー全体の管理をかねています。
また、現在のサイトコレクションやサブサイトにあたる概念はないため、1つのサイトが基本となります。その代わり”サブWeb”という概念でこのサイトを複数作成する事ができます。

その他、ユーザーとロールや利用状況分析設定など、現在でも存在する管理系メニューがある事も分かりますね。

Tips1. 保存したファイルはどこへ?

SharePointにアップロードしたファイルがデータベースに格納されることは有名ですが、この時点では、データベースではなく、そのままファイルシステム上に置かれていました。

Tips2. stsadmコマンドのstsって何の略?

この後の製品になりますが、SharePoint 2003やSharePoint 2007の管理経験がある方なら、SharePointの管理コマンドラインツールであるstsadmコマンドはご存知かと思います。
このコマンドは、”sts”+”adm”の綴りで分けられ、stsは、SharePoint Team Servicesの略称で、admは、administratorの略称と考えるのが自然でしょう。
つまり、SharePoint Team Servicesの管理者コマンドというそのままの意味ですが、不思議な事に、このSharePoint Team Servicesにstsadmコマンドは存在しません。
このコマンドが採用されたWindows SharePoint Servicesは、開発段階でSharePoint Team Services 2.0という名前だったため、コマンド名をstsadmコマンドにした、という理由が書かれている情報もありますが、真相は分かりません。

Tips3. チーム作業への回帰?

Teamという言葉は、このバージョン以降、製品名に使われる事はありませんでした。
但し、サイトテンプレートの”チームサイト”として、延々とチームの名前が残っていく事になります。
長らく、”チームサイト”のテンプレートは、空のサイトテンプレートにいくつかのリストやライブラリが事前に組み込まれていただけでしたが、最近、Office 365において、この簡単にチーム作業が行えるように、Microsoft Teamsという新機能が提供され始めました。
SharePointのチームサイトに対する更新ではなく、SharePointとは別機能として提供された点は残念ですが、これは、SharePoint Team Servicesの理念とする簡易にチーム作業を行える場所の提供への回帰のような気がしませんか?

それでは、最後にEdge君に、感想を聞いてみましょうか。

エッジくん
こんなに前の製品にも関わらず、同じようなドキュメントライブラリやリストがあって面白かった。ただフォルダビューというリンクを押したら、こんな画面になっちゃった。

うーん、、、さすがにEdge君ではエクスプローラービューは開けなかったようですね。
この後の製品でも、エクスプローラービューが開けるかどうか、確認してみましょうか。

今回の探訪のまとめ

15年前に提供されたSharePointの最初のバージョンで提供されていた機能は、そのまま脈々と最新のSharePointに受け継がれていることがわかりました。
そのシンプルなインターフェースは、Edgeでも参照可能でしたが、今後のバージョンでも果たして参照する事はできるのでしょうか。

次回は、SharePoint Team Serviesと同時期に提供された、SharePointを冠した最初のエンタープライズ向け製品のSharePoint Portal Server 2001をEdge君とともに訪れます。

次回:”第2回:SharePoint Portal Server 2001:ポータルって、こういうこと。”



SharePoint コラム 第1回 「SharePoint Team Services:”チームに向けて”、そこから歴史は始まった。」