Oracle Database 18c 新機能: インストール時の変更点

*以下は、サポート契約締結中のお客様に毎月配信しているサポートレターより一部抜粋して掲載しています。

はじめに

オンプレミス版 Oracle Database 18c がリリースされてから約 3 カ月程が経過しましたので、個人的な検証から次期システムの更改に向けた調査といった、さまざまな事情で既に Oracle Database 18c を導入、お試しになっているエンジニアの方も多いかと思います。

当サポートの Oracle Database 18c に関する問い合わせは、まだインストール要件の確認といった類のものが多いですが、今回は Oracle Database 18c の導入に観点を置き、インストール時の変更点や注意点をご紹介します。

Database ソフトウェアのインストール方法の変更

まず、Oracle Database 18c 導入の際に戸惑う変更点としては 18c から Database ソフトウェアのインストール方法が、ゴールド・イメージによる、イメージ・ベースのインストール手法に変更されている事です。

具体的には、従来の Database ソフトウェア(バージョン 12.2 迄)の場合、ダウンロードしてきたインストーラー(runInstaller)を実行し、Oracle Universal Installer にて、インストール先のディレクトリである ORACLE ベースや ORACLE ホームのパスを指定するかたちでした。しかし、Oracle Database 18c からは、OTN および Oracle Software Delivery Cloud よりダウンロードしたファイルに Database ソフトウェアのゴールド・イメージが含まれており、runInstaller を実行したディレクトリが、そのまま ORACLE ホームとして認識されます。

従いまして、以下の手順の例のように、事前に ORACLE ホームを作成し、そこにダウンロードした Oracle Database 18c のゴールド・イメージを解凍、展開後に runInstaller を実行して頂く必要があります。

参考手順

# mkdir -p /u01/app/oracle/product/18.0.0/dbhome_1
# chown -R oracle:oisntall /u01/app
# chmod -R 775 /u01/app
# su - oracle
$ cd /u01/app/oracle/product/18.0.0/dbhome_1
$ unzip db_home.zip

上記のインストール方法については Grid Infrastructure 12.2 より採用されております。何を隠そう、私自身も Grid Infrastructure 12.2 をインストールする際に、上記の仕様を認識しておらず、/work といった一時作業ディレクトリにダウンロードしたゴールド・イメージを展開し、runInstaller を起動してしまったため、/work/grid_home といった何とも不格好な ORACLE ホームを(GRID ホーム) を構成してしまった苦い経験があります。私の場合、検証環境におけるインストールでしたので、大きな問題にならず、再インストールを実施しましたが、本番環境においては、お客様とのスケジュールの都合上、一発勝負のインストール作業に臨まれるエンジニアの方も少なくないのではと思いますので、これから Oracle Database 18c のインストールを予定されている方は、是非、本変更点をご留意頂けますと幸いです。

RPM パッケージの提供

Oracle Database 18c インストールの変更点として、18c より Oracle Database ソフトウェア・インストール用の RPM パッケージが提供されるとの発表がされており、検証環境といった取り急ぎ Oracle Database 18c を導入したいといった方には、非常にお勧めの導入方法となります。

参考マニュアル

RPM パッケージを利用すれば、以下の作業が rpm -ivh コマンドにて一度に実現できることになります。

  • Oracle ソフトウェアの展開
  • Oracle Database ユーザ/グループの構成
  • Oracle Inventory の構成
  • root.sh の実行
  • サンプル・データベースの作成

残念ながら、RPM が提供される OS プラットフォームは Oracle Linux に限定されており、提供される Database Edition も Enterprise Edition のみの提供となるようです。
また、RPM パッケージで Database ソフトウェアを導入した際も、パッチ適用時は OPatch の利用が推奨されており、rpm -Uvh コマンドによるアップグレードはサポートされません。尚、本 Oracle Support Letter 執筆時点において、OTN および Oracle Software Delivery Cloud を確認しておりますが、まだ Oracle Database 18c の RPM パッケージは提供されておりませんでしたので、リリースについてはもう少し動向を注視する必要があるかと思います。

読み取り専用 ORACLE ホームについて

最後にご紹介するのが Oracle Database 18c より構成可能となった "読み取り専用" の ORACLE ホーム構成です。
これは dbs や network フォルダーといったデータベースの構成情報やログファイルなどを ORACLE_HOME から分離させることにより、その他の Oracle バイナリーを含む ORACLE ホームを読み取り専用で構成できるインストール手法となります。

具体的な構成手順については、マニュアルや下記のドキュメントにも記載がございますが、Oracle Universal Installer にて Oracle ソフトウェアインストール時に「ソフトウェアのみの設定」を選択し、以下のコマンド例のように roohctl スクリプトを実行する流れとなります。

コマンド例

$ ./roohctl -enable

参考ドキュメント

読み取り専用 ORACLE ホームのメリットとして謳われている点と致しましては、Read Only の ORACLE ホーム領域を、そのままソフトウェア・イメージとして利用可能という点です。
これにより、例えば、1 つの環境でパッチを適用し、それをソフトウェア・イメージとして複数の環境に展開(デプロイ)するといった事が可能となります。まだ、事例も少なく、未知数のインストール構成ではありますが、上手に利用できれば構成管理面での運用の簡略化が期待できますので、是非検証などからお試し頂ければと思います。

まとめ

今号では、Oracle Database 18c のインストールについて、変更点や注意点を紹介させていただきました。あくまで概要レベルのご紹介になりますが、これから Oracle Database 18c の導入を検討されている方の一助になれば幸いです。

(オラクル事業部 サポート・サービス担当 露木)

Oracle Database 18c 新機能: インストール時の変更点