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Azure コラム 第1回 「Microsoft (Azure) vs Amazon (AWS)」


はじめに

Azureコラムへようこそ。
みなさんがこのコラムへたどり着いた経緯は何でしょうか?昨今の流れからですと、お仕事で必要になったので情報取集をというのが多いでしょうか?

そんな方にAzureコラムはきっとお役に立てると思います。

私自身SIerに勤務する立場ですし、かつ本コラムでのメインターゲットを「企業のインフラとしてのAzure」に据えていますので、特にお客さまにシステムを提供していく立ち位置の方との目線はバッチリ合わせられる予定です。
もちろん個人的な趣味などの理由の方にも、お役に立てる情報はあると思いますので、お時間あるようでしたらご一読いただければ幸いです。

ちなみに私自身は中の人でもなければ殿上人でもありませんので、在野の泥くさい情報提供になることはお許しください。

Microsoft (Azure) vs Amazon (AWS)

第1回という事でひとまずキャッチ―な題名をつけてみました。
でもこの話題は第1回の最後に回して、まずは「パブリッククラウドとは」や「Azureとは」というところから入っていきたいと思います。

パブリッククラウドとは

まずAzure(とAWSも)はパブリッククラウドに属するサービスですので、そこに軽く触れておきましょう。
この手の定義は権威ある機関を引用するのが良いだろうという事でIPA情報処理推進機構より。

NIST によるクラウドコンピューティングの定義

クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングは、共用の構成可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、サービス)の集積に、どこからでも、簡便に、必要に応じて、ネットワーク経由でアクセスすることを可能とするモデルであり、最小限の利用手続きまたはサービスプロバイダとのやりとりで速やかに割当てられ提供されるものである
パブリッククラウド
クラウドのインフラストラクチャは広く一般の自由な利用に向けて提供される。その所有、管理、および運用は、企業組織、学術機関、または政府機関、もしくはそれらの組み合わせにより行われ、存在場所としてはそのクラウドプロバイダの施設内となる。

とのことです。もうちょっと砕いてまとめると、

事業者が提供するシステム実行環境を、みんなで共有利用する提供形態

と言う感じでしょうか。
クラウドと言うと、前者がフォーカスされがちですが、パブリッククラウドまで踏み込むと「みんなで共有利用」というところがいろんな意味で肝になります。これの意味するところはまた次回以降で。

IaaS/PaaS/SaaS

こちらの話題はわかりやすい図がありますのでそちらを交えて説明したいと思います。
※以下のブログの図を当社にて再作成し、掲載しております。

クラウドサービス比較表

IaaSはざっくり仮想マシンを提供するサービスとの理解で間違いないと思います。
PaaSはAzureでも多様なサービスが提供されているのですが、本コラムのメインターゲットを考慮するとWebアプリケーションとデータベースの実行環境のみを提供するモデルという言い方でしょうか。ちょっと観点を変えますと、オンプレミスのアプリケーション開発で、開発と基盤が分かれている場合に、開発側が触ることのできる範囲、という言い方も出来るかもしれません。
SaaSに関しては人によって分かれるところですが、私も上図と同じくSaaSはOffice365のカバーしている範囲との認識です。
このあたりの用語は慎重に取り扱わないと、実は全然意識合ってないなんてことになりかねませんね。

Azureの歴史

Azureの歴史を軽くご紹介しておきます。あり物の情報ですので提案資料のネタにでもしてください。

2008年 ・Windows Azure 発表
  • 最初は Microsoft Azure ではありませんでした
2010年 ・サービス開始
2013年 ・Azure 仮想マシン公開
  • これ以前にも AzureVM ロールがプレビュー公開されていましたが、後継と言うよりは廃止
    → 新設という流れでした
  • ここでようやく Azure で IaaS が展開されるようになります
2014年 ・日本リージョン開設
2015年 ・Azure 仮想マシンv2公開
  • Azure Resource Manager(ARM)という新しい仕組みが導入されました

Microsoft (Azure) vs Amazon (AWS)

さて、若干前置きも長くなってしまいましたので本題に触れていきましょう。
と言っても勝ち負けをつけたいわけではありませんので、いくつかの要件を挙げて両者の違いなどをご紹介しようかと思います。
(一応AzureコラムですのでAzureに有利になりそうな点は太字にしておきます)

  Azure AWS
仮想マシンの料金 個人的な感覚ではありますが、AzureがAWSを見てほんの少し安価な値付けをしている感じです。
ただ「買い方」によっても大きく変わってきますので、次回以降のどこかでご紹介できればと考えています。
通貨 日本円での支払いが可能です。
料金設定も日本円で行われていますので、基本的に為替の影響は受けません。
USドルでの支払いのみとなり、こちらは為替の影響を受けます。
(2016/2/18修正)
日本円で支払うことが出来るようになったようです、為替の方は継続して影響受けると思います。
リセラーを経由することで、一応日本円での支払いも可能なようです。(当然何らかのマージンはのっているでしょうが)
準拠法/裁判地 Azureでは日本法を準拠法とし、裁判地は東京地方裁判所としています。
比較的影響の大きな要件ですので、詳細に後述します。
AWSの場合、準拠法はアメリカ合衆国ワシントン州法、裁判地はアメリカ合衆国ワシントン州キング郡に所在する州裁判所または連邦裁判所、となります。
データセンター 日本を含む22の地域に展開されています。
日本では東日本と西日本の2つのリージョンが稼働中です。
また中国に関してもGA(General Availability)されているようです。
日本を含む12の地域に展開されています。
日本においては東京の1箇所ですが、AWSにはアベイラビリティーゾーンという考え方がありますので、その観点では複数のデータセンターという言い方も出来ます。
中国に関しては現状プレビューのようです。
ディザスタリカバリ 東日本リージョンと西日本リージョンを組み合わせて、日本国内においてディザスタリカバリ構成を取ることが可能です。 日本国内には東京リージョンしかありませんので、(アベイラビリティーゾーンが分けられるにせよ)ディザスタリカバリには海外リージョンとの組み合わせが必要となります。
専用線接続 Azure ExpressRouteによる専用線接続が提供されています。
東日本・西日本ともにサービス提供が行われていますが、西日本はプロバイダー対応がまだ立ち上がり切っていない状況です。
AWS Direct Connectによる専用線接続が提供されています。
Linux 対応 最近やっとRed Hat Enterprise Linuxに対応しました。 言わずもがな、主要ディストリビュータは対応済みです。

これだけ見たら(特にAzureがRed Hatに対応したこともあり)Azureに優位性がありそうですね。
実はテクノロジー面を見ると他にもいろいろ見えてくるのですが、それだけで1回分くらいのボリュームがありますので、そちらの話題は次回以降にご紹介しようかと思います。

Azure のポイントとなる要件

さてここまで意外と順調に書き進んできました、概要で1回分書けるとは思っていなかったのですが意外と書けるものです。
今回はAzureの、特に競合と比較検討する場合にポイントとなる要件のご紹介をして最後にしたいと思います。

1. Azureは日本法の適用下に置かれる

前章に記載した通り、Azureの準拠法および裁判地ともに日本法の適用下に置かれます。
これがどういうことかは、逆に他国法の適用下に置かれる場合を想定したほうがわかりやすいので、以下に最も有名な事例を挙げて説明いたします。

米国よりの強制捜査によりデータセンターの情報が閲覧・接収される可能性がある
パブリッククラウドの比較的初期からある米国パトリオット法を取り上げた話題で、これが適用されると捜査権限において、機密情報であっても閲覧・接収されてしまうのでは、という点が問題視されました。
パトリオット法はテロ防止を目的とした法律ですのでその点に触れさえしなければ適用されることはありませんし、米国の警察組織が日本のデータセンターに立ち入ってと言う事はほぼあり得ない話ではあります。ただ米国よりネットワーク経由であれば閲覧・接収出来ないことはありませんので、手段自体は残されている形になります。

私自身もパトリオット法については事例としても出ないだろうなと思いますが、今後同種で別の法律が制定された場合を想定すると、アクセス手段が残されている以上、看過しえない場合もあり得るだろうなと考えます。
さらに最近はお客さまの方でも勉強されていて、このあたりの準拠法/裁判地が日本~であること、と要件がRFPなどに盛り込まれている場合もあったりします。その場合Azureは日本法の適用下に置かれますので要件をクリアすることが可能です。

2. 日本国内でディザスタリカバリを構成することが出来る

Azureには日本国内に置かれた東日本と西日本の2つのリージョンを組み合わせることで、日本国内に閉じたディザスタリカバリ構成を取ることが可能です。ストレージレプリケーションでもこの2つのリージョンが対になっていますので、Azure側でも明確にディザスタリカバリ要件が意識された設計になっていると思います。
これは上記の準拠法の件にも絡む点で、仮にバックアップサイトを海外に置いた場合ディザスタリカバリの要件自体は満たせると思いますが、バックアップサイトには日本法が適用されませんので米国パトリオット法的があればその適用下に入る形になります。さらに当地の警察権の及ぶ範囲にもなりますので立ち入っての強制捜査も可能になるはずです。
日本リージョン開設から比較的早期に東西と揃ったのは、ここまで考えてのことなんだろうなと思います。

3. 西日本データセンターがある

クラウドサービス(Office365などのSaaS含む)の導入検討は、首都圏よりも地方圏の企業の方が活発であるという印象を私自身持っています。
そういった場合に、西日本データセンターの存在は、特に大阪圏の企業には強い訴求になるようです。

次回予告

「Azureコラム 第1回 Microsoft (Azure) vs Amazon (AWS)」はいかがでしたでしょうか?
キャッチ―な題名ほどに対決色は出ませんでしたが、優位性などを挙げてAzure推しでまとめられたかなと思います。

次回は実際の事例を通して、Azureのメリット・デメリットや注意点などをご紹介したいと考えています。
その中で実はAWSの方が・・・という内容も出てくるかもしれませんので、違う意味でご期待を。