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第6回 フラッシュ・ストレージ最新動向とFlashSystem 900 & V9000


IBM FlashSystem の新製品

前回でフラッシュ・ストレージに関するトピックは最後と申し上げましたが、2015年2月に FlashSystem 900 および FlashSystem V9000という新製品が IBM より発表されましたので、これらの製品とオール・フラッシュ・ストレージ最新市場動向を併せて追加寄稿させていただくことになりました。

オール・フラッシュ・ストレージの最新市場動向

新製品の解説に入る前に、オール・フラッシュ・ストレージの最新動向について説明します。
第3回コラム の時に、HDD の市場は徐々に減少して、代わりにオール・フラッシュの市場が伸びていると説明しましたが、この傾向は引き続き堅調に推移しており、2019年には両者の売り上げシェアが逆転すると言われています。これは、今後本番データは全てフラッシュ・ストレージに置くという傾向がますます強まっていくということを意味しています。したがって、将来を見据えて、現時点から「Flash First」のコンセプトでディスク設計を考える必要があるかと思います。まずフラッシュ・ストレージの導入を検討して、次にコストなどとの兼ね合いで、SAS HDD や NL-SAS HDD を補完していくような流れになっていくと考えています。
次にオール・フラッシュ・ストレージの市場シェアについてです。2014年度のオール・フラッシュ国内市場シェア1位は、2013年に続いて FlashSystem でした。2位には PureStorage があがっています(こちらの製品も当社取扱い製品です)。
下記リンクのページ下部にある「2014年度 オール・フラッシュ・ストレージ国内市場シェア」を参照ください。

最近の傾向としては、高速性だけでなく重複削減や圧縮などによるコスト効率も重視するお客さまが増えていますので、両者のバランスが取れた提案が必要になってくると思います。2位にあがった PureStorage のシェアが伸びているのもそういった理由からだと思われます。 FlashSystem もリアルタイム圧縮や各種コピー機能をサポートしているモデル V9000 での提案が増えていくかもしれません。
また、フラッシュ・メモリーそのものの生産傾向ですが、SLCからeMLC、MLCへ、さらにeMLC、MLCからTLCへとより生産効率の高いチップに移行しつつあります。生産量が減少したメモリー種別は安定供給が不安視されます(SLCの生産は終息に向かっており、eMLCも徐々に終息傾向にあります)ので、フラッシュ・ストレージ製品に採用するチップもこのトレンドに追随していく必要があります。また、フラッシュ・ストレージはより大容量化の方向に向かっています。したがって、採用されるチップは SLC → eMLC → MLC → TLC というように、単位面積あたりの容量が優位なものに変遷していくと思います。今後はMLC、TLCといったコスト・パフォーマンスの高いチップが主流になり、その中で品質向上につとめていくことになるでしょう。

FlashSystem 900の特長

ここからは、2015年2月23日に発表されたFlashSystem 900について解説します。

FlashSystem 900と840

FlashSystem の特長については第4回コラム を参照ください。 ここでは、従来モデルからの変更点について説明します。上の写真を見てもわかるようにモデル900の場合、外観はモデル840とほとんど変わりがありません。新モデルの大きな変更点の一つは、中身のフラッシュ・モジュールにあります。
既存モデルで供給を受けていた半導体メーカーから新たに別の半導体メーカー(Micron Technology 社)と契約しました。さらにこのメーカーとチップ段階から共同開発し、独自のフラッシュ・チップを搭載したフラッシュ・モジュール(MicroLatency™ モジュール)を FlashSystem 900に実装しました。2013年4月に IBM が発表したフラッシュ・ストレージの研究・製品開発に対する10億ドルの投資による成果の一つです(FlashCore™ テクノロジーの実装)。
チップの規格としては、eMLC から MLC に変更になりました。理由の一つとしては、前述したフラッシュ・チップの生産傾向(SLC、eMLCが減り、MLC、TLCが増えている)があげられます。 MLC というと、eMLC より安価であるものの耐久性に10倍の差があると言われています。しかし、前述したチップレベルでの共同開発によって、メモリーへのアクセス方法を改善(具体的には書き/消し時の電圧を最適化)しました。これにより、通常の MLC よりも9.41倍耐久性のあるチップを実現させました。これを IBM ではエンハンスド MLC(省略すると eMLC となり、ややこしいのですが)と呼んでいます。MLC の9倍以上ということで、モデル840とほぼ同等の耐久性を持ち、さらにコスト・パフォーマンスに優れた製品となっています。

MicroLatencyTM モジュール

今回の共同開発により、モジュール1枚あたりの集積性を向上させることにも成功しました。これまでは、1TB/2TB/4TB の3種類のモジュールでしたが、モデル900からは、1.2TB/2.9TB/5.7TB とフラッシュ・モジュール1枚あたりの容量が拡張されました。これによりシステムあたりの容量が40%増となりました。
次に性能面ですが、IOPS 性能(最大1,100,000 IOPS)とレイテンシー(90µs)についてはモデル840と同じですが、帯域性能が8 GB/sから10 GB/s と20% 向上しました。
その他の機能拡張としては、VMware VAAI UNMAP と VASA(VMware vSphere APIs for Storage Awareness)をサポートするようになり、VMware との連携が強化されました。
IBM サーバーとの親和性としては、これまでVIOS経由のみサポートされていたIBM i とのネイティブ接続をサポートするようになりました。

FlashSystem V9000の特長

FlashSystem V9000は、従来のモデル名V840から0が一桁増えました。V9000はフラッシュ・ストレージでありながら、SDS(Software Defined Storage)の技術を融合させた製品になります。これまでIBMのSDSを使ったディスク製品群というと、SVC や V7000、V5000などがありますが、これらの中で最上位に位置付けられる製品という意味でV9000というモデル名になりました

FlashSystemV9000とV840

従来モデルとの違いについでですが、まずは外観です。上の写真を見るとわかりやすいですが、従来のモデルはフラッシュ搭載の筐体とコントローラー(2ノード)がそれぞれ独立した筐体で、単純に積んであるようなシステムでしたが、V9000からはフロントカバーで一体化させており、見映えからも統合製品のようになりました(厳密にはまだ別筐体なのですが、完全に一体化するのは次世代以降の製品になるようです)。
V9000も前述のモデル900と同様に新開発されたフラッシュ・モジュールを搭載しています(変更点は重複しますので割愛します)。
他には、モデルV840まではフラッシュ・エンクロージャーとストレージ・エンクロージャーの管理がそれぞれ別々のGUIで行っていましたが、単一のGUIからV9000のコンポーネントを一括管理できるようになりました。

FlashSystemV9000とV840

システムの管理も完全に統合され、フラッシュ部分が内部ストレージとして一元管理することが可能になりました。また FlashCopy、リアルタイム圧縮、リモートミラー、外部ストレージ装置仮想化などの機能は、SVC Node #1/#2(クラスター構成)部分で制御可能になっています。

あとがき

オール・フラッシュ・ストレージは、注目度も市場規模も順調に増えています。今後も各メーカーで開発競争が進み、選択肢が増えて提案も複雑化していくと思われます。当コラムが、お客さまに適したストレージ選択の参考になれば幸いです。

ポイント オール・フラッシュ・ストレージ最新動向 ● 2019年には HDD とオール・フラッシュの売り上げシェアが逆転する見込み ● 2014年の国内市場シェア1位は FlashSystem、2位は PureStorage ● 重複削減・圧縮機能を使い、コスト・パフォーマンスも考慮した提案の増加 ● フラッシュ・チップのトレンドは、SLC → eMLC → MLC → TLC FlashSysytem 900の特長 ● 半導体メーカーと共同開発したフラッシュ・モジュールを実装 ● MLC の9倍の耐久性(≒eMLC)を実現したチップの開発 ● 1.2TB/2.9TB/5.7TB に容量拡張された3種類のモジュールを提供 ● 管理 GUI の統合(複数の FlashSystem およびコンポーネントを一括管理) ● VMware 連携強化、IBM i のネイティブ接続サポート