現在地

第3回 Cloudifyのユースケースのご紹介

本コラムでは、オーケストレーション技術とオーケストレーションの一例としてCloudifyについて説明してきました。今回はCloudifyを技術的にさらに詳しく見ていくのではなく、少しユーザー側に視点を変えて、実際のビジネスの中でどのような使われ方をしているか、世界各国の事例についてご紹介します。とくに、通信事業者向けが中心のNFV(Network Function Virtualization)用途ではなく、幅広く応用できるものとしてエンタープライズ向けの事例を中心にご紹介します。

再保険会社の事例

会社概要

従業員4万人を超え、世界各国に展開している再保険会社。
4つのビジネスユニットで500億ドル(5.5兆円)の売り上げ。

要件

当該保険会社では以下の要件を満たすオーケストレーターを検討していました。

  • Big Data分析のためOpenStack上の600VM以上(データベースが搭載されたVMが600以上)のVM間での相互通信の制御が可能なこと
  • 多種多様なデバイス、サービスを制御することが可能なこと
  • 社内システム運用に当たって、継続的な管理、監視、アップデートをツールセットの変更を伴うことなく実現が可能なこと
  • ユーザーによるワークフローのカスタマイズ(業務フローの策定・修正)が可能なこと

Cloudifyでの問題解決

Cloudifyを用いて以下のようなシステムを実現しました。

  • シンプルなアプリケーションのBlueprintを通じてオンデマンドなデータベースのデプロイ・更新とその一括管理をCloudifyから実施
  • 既存のIaaSオーケストレーター、IPアドレス管理のためのDNS/DHCPサーバの設定、OpenStackクラウドの制御、NetAppストレージの制御、Chefを利用したアプリケーションのデプロイ、その他複数のバックアップおよびモニターツールの制御をCloudifyから実施

Reinsurance-Company-Use-Case

図の引用元:https://cloudify.co/wp-content/uploads/2017/04/Reinsurance-Company-Use-Case.pdf

結果

その結果、以下のような効果が得られることが確認されています。

  • お客さま自身で、システム構成の定義やシステムの構築・運用を実施
  • 数週間かかっていた作業を、数時間・数日単位に削減

銀行(北米)の事例

会社概要

従業員8.5万人を超え、北米を拠点に展開している銀行。
全世界に2500万を超える顧客、2300を超える支店を保有。

要件

当該銀行では以下の要件を満たすオーケストレーターを検討していました。

  • 本業のビジネスと直接関係しないにもかかわらず数多くがばらばらで存在している要素技術を束ねることが可能なこと
  • オペレーターにとっても情報システム部門にとっても扱いやすいこと
  • スケーラブルで柔軟な制御をつかさどり、一元的に全体の情報を管理することが可能なこと

Cloudifyでの問題解決

Cloudifyを用いて以下のようなシステムを実現しました。

  • ワンクリックで構築が可能な“認定されたブループリント”のカタログを提供し、各組織がそれを用いてCloudifyから一元制御
  • 多種多様な要素技術の詳細知識を必要とすることなく利用が可能
  • 何百ものアプリケーションや新しいサービスの試験をCloudifyから一括で実施することでリードタイム短縮(ITにおけるプロビジョニングのボトルネックを排除)

td-bank-keynote

図の引用元:https://www.slideshare.net/openstackil/td-bank-keynote

結果

その結果、以下のような効果が得られることが確認されています。

  • 各組織でばらばらであったITシステムの技術標準化を実現
  • 銀行でこれまでかかっていたコストを40%削減
  • OpenStack上の5000以上のノードの構築、制御を実現
  • 1年間で50以上の新しい技術と7つの新しいプラットフォームの導入

銀行(欧州)の事例

会社概要

50カ国以上に10万人以上の社員を擁する欧州有数の金融サービスグループ。

要件

当該銀行では以下の要件を満たすオーケストレーターを検討していました。

  • パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスのVMwareなどの仮想化環境を幅広く制御できること
  • オープン性があり、サービスやクラウドを相互接続性が担保された形で接続するためTOSCAなどの標準に沿った製品であること
  • 需要に応じてクラウド環境を切り替えたり、ミドルウェアの追加削除を行ったりするのが容易であること
  • 古くからあるアプリケーションを動作させるための既存のレガシ環境から、クラウド、最新のアプリケーションを操作させるコンテナにいたるまでを同時に運用可能であること

Cloudifyでの問題解決

Cloudifyを用いて以下のようなシステムを実現しました。

  • インフラがクラウドの場合でもオンプレミスの場合でも、Cloudify上で同じような形式でアプリケーション構造を表現可能
  • TOSCAを利用してシステムモデルを表現することで、オンプレミスからクラウド環境にいたるまで環境複製が容易
  • ユーザーが利用可能なシステムのテンプレートをマーケットプレースとして提供し、ユーザーがセルフサービスで環境を利用することが可能
  • サービス提供中のシステムに対するアップデートが可能
  • セルフサービスで開発者、アーキテクト、オペレーターみんなが利用できるグラフィカルで直感的なポータルサイトを構築

Alien4Cloud-and-Cloudify-White-paper

図の引用元:https://atos.net/wp-content/uploads/2017/07/Alien4Cloud-and-Cloudify-White-paper.pdf

結果

  • これまで18カ月かかっていた新規サービスアプリケーションの開発期間を6カ月に短縮(66%減)することが出来るようになった
  • これまで個別に試験していたためにリリース後もエラーが残っていたが、自動化されたことで品質が向上し、リリース後のエラーがほぼゼロとなった
  • 環境の複製や古いバージョンへの切り戻しが容易になったため、サービスのアップデートが頻繁に可能となった

投資銀行(北米)の事例

会社概要

40カ国以上に5万人以上の社員を擁する北米の投資銀行サービスグループ。

要件

当該銀行では以下の要件を満たすオーケストレーターを検討していました。

  • Kubernetsベースで開発されたプロプラのプライベートクラウドの制御が出来ること
  • コスト削減を目論見としたプライベートとパブリックとの併用に向けAzureへの対応が可能であること
  • 厳密な規律(社内ルール)に沿った利用と認証が可能であること

Cloudifyでの問題解決

Cloudifyを用いて以下のようなシステムを実現しました。

  • 柔軟性とプラガビリティ(新しい技術の追加や古い技術の削除が柔軟に出来る)が確保可能
  • 既存の技術と新しい技術に対して一般的な自動化が可能
  • ITガバナンス

結果

  • Cloudifyが戦略的な用途で必要不可欠なシステムとして利用されるようになった
  • KubernetesとAzureの制御という当初の範囲だけでなく、より幅広い対象の制御が期待されるようになった

分析ソフトウェア会社(北米)の事例

会社概要

90カ国以上に展開する、北米の分析ソフトウェア(クレジット情報分析など)会社。

要件

当該ソフトウェア会社では以下の要件を満たすオーケストレーターを検討していました。

  • OpenStack、AWSといったクラウドの制御が出来ること
  • ネットワーク装置の制御も可能であること

Cloudifyでの問題解決

Cloudifyを用いて以下のようなシステムを実現しました。

  • セキュリティを確保したオーケストレーションが可能
  • マルチクラウドの制御が可能
  • DevOpsの自動化が可能

結果

  • Openstack、AWSだけでなくAzureなど他のクラウドも含めたマルチクラウドの制御が期待されている

まとめ

今回のコラムではCloudify製品の5社の導入事例をご紹介しました。金融やソフトウェア業といったエンタープライズでのこれらの事例を、Cloudifyの活用を検討する際の参考としていただけると幸いです。

次回からは、Cloudifyを実際に導入する手順として、インストール、動作確認の仕方についてご紹介していく予定です。

参考

Writer Profile

ソリューション事業部
SDIソリューションビジネスユニット SDIグループ
前田 繁章