当社コーポレート・エグゼクティブ(デジタルビジネス推進)平岡正寿のインタビュー記事が電経新聞に掲載されました

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お知らせ - 2022.12.12

     

12月12日付の電経新聞において、当社コーポレート・エグゼクティブ(デジタルビジネス推進)平岡正寿のインタビュー記事が掲載されました。 許諾をいただいておりますので、以下に転載いたします。是非ご覧ください。

NTTデータ先端技術のDX戦略をまとめた。同社はDX推進の一環としてアジャイル開発に注力。DXニーズが高まる中、DX人材の増強に力を入れており、人材増強の取り組みとして本社と共に「タレントプール構想」に注力。アジャイル開発をきちんと理解した人材輩出に軸足を向ける。同社コーポレート・エグゼクティブ(デジタルビジネス推進)の平岡正寿氏に具体的な取り組みを聞いた。

 

コーポレート・エグゼクティブ
(デジタルビジネス推進)
平岡 正寿氏

――御社はDX推進体制を整備しアジャイル開発に力を入れている。その背景について

当社はDXの一環としてアジャイル開発を推進している。日本のアジャイル開発ではスクラム開発が主流であり、スクラム開発はDXを進める強力なツールになる。もちろんアジャイル開発だけでDXが進むわけではない。モバイル開発やクラウド上でのアプリケーション開発などの技術も必要だが、プロセスとしてアジャイル開発はDXに非常に有効だと考え、人材の輩出を積極的に推進している。

――現状の市場動向

多くのお客さまがDXに関心を持ち、ここ数年DXニーズは確実に高まり続けている。その一方、お客さまの期待に沿うレベルでDXを展開できるSIerの人材、あるいはお客さまの側のDX人材が増えているわけではない。お客さまのこうした状況を支援するのが当社の仕事であり、現状スクラム開発を中心にお客さまの支援している。当社のアジャイル開発のチームとお客さまのチームとの混成チームを組むこともあるし、当社がチームごと入ることもある。そこはNTTデータ本体と連携しながら進めることが多い。
お客さまのニーズはさまざまな領域に波及している。例えば、当初は局所的にやっていた小さなプロジェクトだったものが、全社の取り組みとして大きなプロジェクトになることもある。新しいサービスをつくるための仕組みを構築したり、これまでは1年くらいかけて構築していたシステムをアイデアが思いついたら1カ月後にはリリースしたいといったニーズも出ている。
こうしたニーズに対応するにはNTTデータグループとしてのDX人材を増強しなければならない。そのための仕組みづくりとして本社と当社が推進しているのが「タレントプール構想」である。

――タレントプール構想について詳しく

ここで言うタレントとはDXタレントのことだが、さまざまな協力会社に参画していただいてチームを組成し、お客さまにスクラムチームを派遣している。従来、われわれの仕事は、お客さまの要望や困りごとに対応するためにスキルを持った人材を都度集めてチームをつくっていた。しかし、最適な人材がすぐに集まるかというと、必ずしもそうはならない。とくにアジャイル開発の案件は、お客さまもすぐに開始したいという希望を持っていることも多い。迅速にプロジェクトを立ち上げて、うまくいけば継続・拡大していく、うまくいかなければ次の手を打つというスタンスをとることが多く、人材をじっくり選定するというスキームが合わなくなっている。
そのためこの構想では、次に来る要件を想定し、事前に人材育成・チーム組成を実施するようにしている。
こうすることで案件のご相談が来たタイミングで、技術者としてもチームとしても適切なご提案ができるようになる。こうしたスタイルへの変革を目的にタレントプール構想を進めている。お客さまが期待するスピード感に応える営みであり、当社が思い描くDXの姿、お客さまに提供していきたい価値を示す営みだと考えている。
タレントプールでは、プール全体として開発者やスクラムマスターを人材育成し、それらのメンバーでチーミングを実施しているが、場合によってはプロダクトオーナーやアーキテクトも交えてのチームをつくることも可能である。


タレントプールの概要

――アジャイル開発における御社の強み

アジャイル開発を強みにするには、「アジャイル開発プラスアルファ」の発想が大切だ。
例えば、その一つは大規模アジャイル開発で、本社・当社ならではの強みと自負している。通常のアジャイル開発は、スクラムマスターという開発をリードする人材がいて、5―6人くらいのチームで開発を進める。
一方、大きなサービスをアジャイル開発する場合、5―6人のチームでは難しく、数十人、数百人というチームが必要になる。
それはお客さまにとってかなりのハードルであり、うまく回すには相応のノウハウが求められる。当社は大規模アジャイルフレーム「SAFe」を活用した大規模なアジャイル開発を推進している。SAFeは大規模アジャイル開発を実装するために必要な役割、責任、成果、アクティビティをガイドする知識体系で、100人程度のプロジェクト従事者からなる規模のソリューションから数千人を超えるメンバーを必要とするようなサービスまでをサポートする。
当社は大規模アジャイル開発のノウハウを蓄積しており、それが強みになっている。実際、当社のノウハウを求めるお客さまも増えている。
また、モバイル技術の利用も当社ならではの強みだ。アジャイル開発とモバイルサービスの開発は相性がよいので、モバイルの技術を利用できることは強みになる。
そのほかデータマネジメント+アジャイル開発など、アジャイル開発にプラスアルファしながらお客さまの期待に応えていきたい。
新しい技術にすぐにキャッチアップできる点も当社ならではの強みといえる。
要素技術の進展は激しく、新しい技術がどんどん出てくる。当社では、ある特定の技術にフォーカスすることはなく、お客さまの意向に沿って、どんな技術にもすばやく対応することができる。
お客さまの中には、社内ルールによってこの技術は使えない、あるいはこの技術を使わなければならないなど、さまざまな事情を抱えている。そのため要素技術に柔軟であることは強みになる。

――コロナ禍をきっかけにリモートが普及した。アジャイル開発への影響

アジャイル開発は、お客さまとの密なコミュニケーションを重視し、同じオフィスに集まり、隣同士ですぐに相談できる状況で行われてきた。 対面でのコミュニケーションが重要だと信じていたし、お客さまとミスコミュニケーションなしで物事が進めることで物事がうまく運んでいた。 ところが、新型コロナ感染が流行したとたん、すべてがリモート化され、お客さまとの密なコミュニケーションが難しくなった。対面だからこそ成功していたのに、本当にリモートでできるのかと、当初は不安だったし、チームのメンバーもオンラインでアジャイ開発をする経験がなかった。
ただ、実際にリモートでやってみると、ある程度の難しさはあるものの、リモートならではの工夫を実施することで期待できるアジャイル開発ができることがわかった。現在は普通にリモートでやりとりしている。ただし、お客さまとよく議論する、わからないことはすぐに聞くなど、アジャイル開発は密なコミュニケーションを糧にしているので、完全リモートでは、やはりうまくいかないときもある。
現場でさまざまな工夫を実施し、基本的に複数のツールでコミュニケーションを図ることはしている。 具体的には、オンライン会議ツールとビジネスチャット、オンラインホワイトボードなどを組み合わせて使うようにしている。オンライン会議ツールは、対面の会議と同様、時間を決めて皆が集まり、一定の時間になると散会するので、コミュニケーションが断続的になる。そこをカバーし、気楽に会話ができるようビジネスチャットを利用している。そのほかオンラン付箋やオンラインホワイトボードなどを使ってやりとりしている。このようにいろいろなツールを組み合わせることで対面並みのコミュニケーションができる状態をつくり上げた。当然、必要な場合には対面でのコミュニケーションを行うこともある。
リモートの場合、場所の制限がなくなる。さまざまな地域にいる人材をチームに入れられるなど、そのメリットは小さくない。

――現状認識している課題

これは私の個人的な印象でもあるが、アジャイル開発はコモデティ化してきた。アジャイル開発の普及に比例して、きちんとアジャイル開発ができる人材、正しくスクラム開発ができる人材が増えているかというと、そうではない気がしている。
アジャイル開発のポイントをきちんと理解した上で、自分なりのやり方に変えていくのはいいが、アジャイル開発を誤解したまま独自路線になっているケースも散見される。 そのため、タレントプール構想では、正しいことをきちんと理解し、正しいやり方で裾野を広げていくことに軸足を置いている。 現在タレントプールには、100人弱の人材がいるが、5年後にはDX人材全体としては4ケタ台まで増やしたい。
その次の目標はアジャイル開発プラスアルファを実践できる人材を増やすことだ。先述した大規模アジャイル開発や、データマネジメントを活用したアジャイル開発など、今後もアジャイル開発プラスアルファはたくさん出てくるだろう。
当社では、次に出てくるものを選定し、それを活用するチームをつくってデリバリするといった取り組みにも力を入れていく。 例えば、現在、Web3への注目が高まっているが、Web3がビジネスとしてどう進展するのかまだわからない。どのように使われるかは、これから考えられていくが、この技術がどう活用できるかを見極めていきたいと思っている。
こうした営みも当社の使命になると考えている。正しいアジャイル開発ができる人材をたくさん輩出するという側面と、次に来る技術をビジネス化していくという側面、その両輪をしっかり回していきたい。

――今後の展開

技術の本質がわかっているからこそ、技術者が新しいビジネスを思いつくことがある。技術に詳しい人材が「この技術があれば、あんなこともできる」「この技術とこの技術を組み合わせれば、こんな新しいこともできる」と斬新なアイデアを打ち出すことはよくあることだ。
当社は技術の会社である。そのため技術者が何かを生み出す環境をつくっていきたい。アジャイル開発の領域は、そういう環境を生み出す可能性の大きい領域なので、ぜひチャレンジしていきたい。

本件に関するお問い合わせ先

NTTデータ先端技術株式会社
経営企画部
広報・KMO推進担当
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