当社コーポレート・エグゼクティブ(ビジネスイノベーション)竹内徹のインタビュー記事が電経新聞に掲載されました

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お知らせ - 2022.12.12

     

12月12日付の電経新聞において、当社コーポレート・エグゼクティブ(ビジネスイノベーション)竹内徹のインタビュー記事が掲載されました。 許諾をいただいておりますので、以下に転載いたします。是非ご覧ください。

同社コーポレート・エグゼクティブ(ビジネスイノベーション)の竹内徹氏にインタビューし、企業DXのポイントを聞いた。現状のDXが新たな価値創出につながっていないとの課題認識を示たうえで、組織風土・文化・プロセスの変革の必要性を強調する。

コーポレート・エグゼクティブ
(ビジネスイノベーション)
竹内 徹氏

――企業におけるDX推進の動向は

2022年7月に公開された経済産業省の「DXレポート2・2」によれば、DXを推進する企業数は着実に増加している。また、DXを全社レベルで推進しているDX先行企業の割合も大きく伸びた。ただ、そのDXの取り組み内容は、既存ビジネスの維持・運営が大半を占めており、いわゆる効率化が中心だ。DX推進が新たな価値創出につながっていない現状が浮き彫りになった。これを打破するには、組織風土・文化・プロセスの変革が必要だと考えている。従来の企業活動の延長線上では難しいということだ。変革の先にあるのがイノベーションで、その結果として企業は新たな価値を生み出すことが可能となる。重要なのは変革のプロセスを落とし込むことだ。

――変革のプロセスとは

当社では、さまざまな企業の変革をサポートしており、私自身も過去3年間で200回以上、延べ8000人以上の方々に対してDXワークショップを開催してきた。「自分たちの目指すDXのゴールは何なのか?」「そのために必要な変革とは何なのか?」といったディスカッションを繰り広げながら方向性を定めていくものだ。参加者からは、「新たなことへチャレンジする機会がない」「新たなことへのチャレンジが評価されない」といった声が多く挙がる。あらゆる企業では現在のビジネスを安定的に維持し続けようとする慣性の力が働いている。これが企業の重要な推進力となっている反面、変革における阻害要因となっているのだ。
変革を起こすには、イノベーションの本質的な意味を理解することが重要だと考えている。イノベーションとは、異なる要素を組み合わせることで新たな価値創出につなげることだ。組織や個人がコラボレーションのあり方を見直し、形式知や暗黙知などナレッジの融合・創出を繰り返すことでイノベーションは生まれる。これまでNTTデータグループは、コラボレーションによるイノベーションを実践してきた。ブロックチェーンの技術開発では、グローバルでのコラボレーションにより大きな成果を上げることができた。また、システム導入によるナレッジマネジメントの確立も重要な取り組みと位置付けられている。

――コラボレーションについての実例

コラボレーションで印象深い経験といえば、NTTデータグループでのブロックチェーンに関する取り組みだ。
私は2015年にブロックチェーンの技術開発に携わることになったが、急速に進化する技術への対応力に課題を感じていた。ちょうどこの頃、世界各国のNTTデータグループでも同様にブロックチェーンへの取り組みが始まったが、その活動は各地域で別々に行われていた。全世界規模で進化を続ける技術に対応していくには国や組織を超えてワンチームになることが必要なのではないか、また、これによるシナジーが新たな可能性を生み出すのではないか、そう考えていた。
こうした中2017年に全世界のメンバーがワンチームとして活動する「ブロックチェーングローバルCOE」を設立、世界30カ国から500名が参加し、国や組織を超えた大規模なコラボレーションとなった。日本のNTTデータがビジネス領域、NTTデータ先端技術が技術領域を担った。世界各国のブロックチェーンに対するニーズを一元的にまとめあげ、技術戦略の立案からソリューションの開発へとつなげていく。全世界規模でのコラボレーションにより、新たな価値創出を実現するというものだ。
しかし、実際の活動で大きな課題が見つかった。システムの活用で形式知の共有は進んだ一方、暗黙知の掛け合わせから新たな発想を生みだすまでには至らなかった。情報交換が中心となり、互いが学び合う姿勢に欠けていた。1年後、各国のリーダー100名を技術開発の拠点であるインドのプネに集めた。私は冒頭、「われわれにとって変革とはどんな意味があるのか?」「われわれはなぜコラボレーションをしなければならないのか?」と投げ掛けた。ここからわれわれの変革への挑戦が始まった。
1週間にわたりホテルに缶詰め状態で、「自分たちにとってこれから実現していくべき価値は何なのか?」をディスカッションし、ブロックチェーンの技術開発に関する悩みや希望など感情を共有した。本質的な課題を認識していく過程で新たなヒントをたくさん見つけることができた。そして、その後の活動の柱となるプランの方向性を導き出した。ブロックチェーン技術をベースとしたDX推進ソリューション「BlockTrace」の原型となるアイディアも実はここから生まれている。暗黙知の共有による大きな成果だ。

――NTTデータグループのナレッジマネジメントについて詳しく

NTTデータグループの最大の特徴は、10万人以上の社員が世界各国でさまざまな業界のお客さまとビジネスの実績を積み重ねていることだ。この特徴を最大限活かして、グループ横断のナレッジシェアを促進し、新たな価値創出に取り組んでいる。 この取り組みでは、NTTデータグループが独自に開発したナレッジマネジメントシステムである「Knowler」が大きな役割を果たしている。既存のファイル共有システムと連携し、ワンストップで形式知が融合されることに加えて、その情報の持ち主である社員の属性や担当プロジェクトなどを可視化することで、「だれが何を知っているのか」をグループ全体で共有できる状態をつくり上げた。
約5年前にNTTデータ本体から導入を開始し、段階的にグループ各社に展開してきたが、これにより、資料作成の効率化などパフォーマンスを大きく向上させることができた。
今後、NTTデータグループを超えたコラボレーションにまで発展させることで、さらなる価値創出を目指していく。

――コロナ禍でITへの期待値に変化は

コロナ禍によってさまざまな変化の速度が上がったと感じている。VUCAの時代、そのときどきの環境やニーズに合わせて、企業は提供すべき付加価値を変えていくことが有効だ。この付加価値を変え続ける仕組みをITの力で実現することが主流になってきている。 この数年で、企業におけるITの位置付けは、戦術から戦略に変わった。単なる効率化の手段から、競争優位性をもたらす価値そのものであるという認識だ。ITに関する技術力や対応力が企業のイノベーションを左右するといっても過言ではない。こうした中、IT企業への期待値が大きく変化しており、当社もまた変わり続けなければならないと考えている。

――今後の展開

大胆に未来の姿を描き、社会や企業に求められるテクノロジを捉えつつ、育てていく。そして企業価値のモデルを転換し、世の中に広く展開していく。こうしたバックキャスト型アプローチへの変革が必要と考えている。今後、ITに対して求められる性能要件やサービスレベルはますます高くなっていく。さらに、情報セキュリティリスクも増大している。
当社のミッションは、イノベーションを実現するために最適な技術を選択することだ。Web3/DAOといった次世代テクノロジへの取り組みをますます強化していく。こうした最先端技術は安定しておらず、活用が難しいが、そういった課題を超えて、だれもが最先端技術を安全に使うことができる世界を実現していく。 NTTデータグループ全体で培った知見を存分に活かし、グローバルナレッジドリブンカンパニーとして、技術力をもって直接的に社会のイノベーションをリードする存在になっていきたい。

本件に関するお問い合わせ先

NTTデータ先端技術株式会社
経営企画部
広報・KMO推進担当
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