Oracle OpenWorld 2015 に参加しました!
*以下は、サポート契約締結中のお客様に毎月配信しているサポートレターより一部抜粋して掲載しています。
今号は、10月25日~29日(米国時間)の 5 日間にわたり、サンフランシスコ中心部で開催されたOracle OpenWorld (OOW) 2015 の模様を紹介させていただきます。当社からは毎年数名が OOWに参加し、最新の Oracle 製品に関する情報を収集しています。
この Topic では Oracle 社が発信した内容から、注目の内容をピックアップしてお届けします。
Oracle OpenWorld とは
OOW は、サンフランシスコで開催される米 Oracle の年次イベントで、Oracle の最新製品技術、業界動向について語られるカンファレンスです。今年で 21 回目を数えます。
メイン会場であるモスコーニセンターを中心に、メイン会場前の街路ハワードストリートも会場の一部になり、サンフランシスコがまさに Oracle 一色の様相になります。
141 の国から 6 万人が来場し、2500 を超えるセッションが付近のホテルなど 18 カ所で開催されました。展示会場では 400 以上の企業ブースが各社の最新情報を発信していました。
OOW 2015 の盛況についてはインフォグラフィクスが公開されていますので参照ください。
- Oracle OpenWorld 2015 Infographics
http://www.oracle.com/assets/oow-2015-infographic-2745940.pdf
セッションは大半が英語なのですが、私は日本オラクル社のオフィシャルツアーで参加したため、主要な基調講演などについては、同時通訳のサービスを受けることができました。


キーワードは「クラウド」と「セキュリティ」
キーノートでは、ラリー・エリソン氏から「No.1 クラウドカンパニー」に向けたクラウド事業の展望について説明がありました。(いつも通り他社に対して攻撃的な内容も含んでいました。かつては IBM と SAP がライバルだったが、クラウド時代では存在感がなく、もはやライバルではない、等)。その中で Oracle Cloud の 6 つのデザインゴールを表明しています。
今後のプロダクト開発方針に関係してくると思われる内容ですので紹介させていただきます。
- ①コスト(Cost):
- 低価格での提供だけでなく、自動化による生産性の向上や運用コストの低下を実現
- ②信頼性(Reliability):
- SPOF(単一障害点)の排除された高信頼性インフラの提供
- ③性能(Performance):
- データベース、ミドルウェア、アナリティクスの高速化
- ④標準技術(Standard):
- SQL、Hadoop、NoSQL 等業界の標準技術を採用することで、オンプレミスとクラウド間の移行を簡単にする
- ⑤互換性(Compatibility):
- オンプレミスの技術とクラウドサービスに完全な互換性を提供
- ⑥セキュリティ(Security):
- セキュリティ機能は常時「オン」
特にセキュリティについて強調して語っていました。クラウドの時代ではセキュリティが最大の懸念材料であり、そのためにはセキュリティは常にオンであり、オフにはできないようにしなければならないとしています。
Database をはじめ、Oracle 製品にはセキュア環境を構築する機能が数多く存在します(暗号化や、監査機能など)が、従来製品ではデフォルトでは「オフ」でした。それは求めていないユーザーにはパフォーマンスの面でも管理性の面でも負担になってしまうためでしたが、これらをパフォーマンスの低下なく、シンプルな管理性で提供していくということでした。
数々の新機能のアナウンス
会場では様々な製品の最新情報がアナウンスされましたが、いくつか興味深いものをピックアップしてお伝えします。
Database 12c Release 2(12.2)
Database 12c Release 2(12.2)のベータ版が発表されました。クラウド環境への対応のためか、マルチテナント関連の機能が強化されています。クラウド環境間における PDBの移動が容易になっているようです。
- コンテナに格納できる プラガブル・データベース(PDB) 数の大幅アップ(最大 4096
12.1 では 252 でした) - PDB のオンライン・オペレーションの強化 (ホット・クローニング、ホット・リロケーション)
その他にも、Data Guard のスタンバイ側で In-Memory クエリを実行し処理をオフロードできる「In-Memory on Active Data Guard Standby」や、シェアード・ナッシングなデータ分散を実現する「Oracle Sharding」など数多くの機能強化が含まれる予定です。
Exadata Cloud Service の提供
クラウド環境でも Exadata による高パフォーマンスを享受できるようになります。提供モデルとしてはスモール・スタート向けの小構成から可能でありスケールアウトも自由に行うことが可能ということでした。
また、Real Application Clusters のクラウド環境でのサポート(RAC in the Cloud) もアナウンスされました。
新チップ「SPARC M7」
「SPARC M7」にはソフトウェア・イン・シリコン(Software in Sillicon) という大きな特徴が発表されています。プロセッサー自体にメモリ保護やアプリケーション高速化のアルゴリズムが組み込まれ、高速に実行される仕組みの総称です。
- 「セキュリティ・イン・シリコン」ではメモリ保護機構がチップに実装されています。
各プログラムが使用するメモリに色(Hidden Color bit と呼んでいました)を付け、それに対応するキーを持たないプログラムからはアクセスできない仕組みで、バッファーオーバフローなどのメモリに対する攻撃からの保護をチップ上で提供しています。 - SQL・イン・シリコン」ではCPUにSQL処理専用のエンジンを搭載することでSQL実行の高速化を提供します。
また、「SPARC M7」とともに「Oracle SuperCluster M7」の発表がありました。
まとめ
今号では OOW 2015 についてお届けしました。会場はとにかく人が多く、特にキーノートなどは開場待ちに大行列ができるほどで、その熱気には驚かされました。
これからはクラウドの時代!という強烈なメッセージで終始していて、新機能もその点を重点的に強化されているようです。なんとなく世の中のコンピューティングはすべてクラウドに収まっていくかのような内容の話が多かったように聞こえましたが、それと同時に、エリソン氏はオンプレミス環境が無くなることは当分はない、とも発言していて、とりあえず、強制クラウドの世界というわけではなさそうだと、少しほっとしてしまいました。
本当はゴールデンゲート・ブリッジ(Oracle GoldenGate ではなく)を間近で見て皆さんにお届けしたかったのですがスケジュールの都合上辿り着けず。あえなく断念となりました。いつかチャンスがあればリベンジしたいと思います。
(オラクル事業部 サポートセンター 河﨑)