Oracle GoldenGate とは

*以下は、サポート契約締結中のお客様に毎月配信しているサポートレターより一部抜粋して掲載しています。

Oracle Support Letter (2017/05/26 発行) では、Oracle Database の災害対策ソリューションとして、Oracle GoldenGate と Data Guard の二つの機能を紹介しました。
今号では、この二つの機能の中で、Oracle Database とは別製品であるためお客様に若干馴染みが薄いと思われる、Oracle GoldenGate に絞って詳細に紹介します。

Oracle GoldenGate は災害対策用途だけではなく、レプリケーション全般に対応することのできるデータ連携製品で、グローバルでは 4,000 以上の導入実績があります。データベースのログから変更データを抽出(Change Data Capture)することで、既存システムへの影響を抑えつつ、柔軟なリアルタイムでのレプリケーションを可能としており、この特徴を活かして多くの用途に使用されています。

下記に、Oracle GoldenGate の特徴を記載します。

  • 異機種(異OS、異データベース、異バージョン)間での柔軟なデータ連携が可能
  • 多くのプラットフォーム
  • バージョンへの対応
  • ログからデータを抜き出すため、既存データベースへの負荷が最小限
  • データの差分のみを転送するため、ネットワークの負荷が最小限
  • ほぼリアルタイムでデータが転送できるため、転送先で最新のデータを参照可能
  • 稼働中のデータベース同士で双方向で転送が可能
  • システム移行時のダウンタイムを最小限に抑えることが可能
  • データベース全体だけでなく、表・列単位やフィルタで絞り込んだ転送が可能
  • 簡単インストール(zip で解凍するのみでインストールが完了)

Oracle GoldenGate の利用用途

Oracle GoldenGate には様々な用途があり、その中でも代表的なものを紹介いたします。

ディザスタ・リカバリとデータ保護

Oracle GoldenGate は、バックアップ・システムへ最新データをリアルタイムに転送することが可能です。それにより、最新のデータをバックアップ・システムに配信し、障害が発生した場合、バックアップ・システムをプライマリ・システムとして運用することが可能です。

アクティブ/アクティブ・データベース・レプリケーションによる継続的な可用性

Oracle GoldenGate には双方向のレプリケーション機能があります。双方向レプリケーションを実現するには、ループ検出と組込みの競合検出/解消機能の構成が必要となります。お客様側にて競合回避の仕組みを検討いただく必要はございますが、アクティブ/アクティブ構成のデータベース・レプリケーションも、Oracle GoldenGate では実現することが可能です。

運用レポートとリアルタイム・データウェアハウジング

蓄積したデータを迅速に利用することが、企業戦略にも必要な時代です。多くの企業は、本番データベースに蓄積されたデータに対して直接レポートを実行するか、または、バッチ処理などを利用して、レポート用のデータベースへ連携したデータを参照するなどの方法を利用しています。しかし、本番データベースを利用する場合は、パフォーマンス低下が懸念され、バッチ処理にて、レポート用のデータベースへ連携する場合は、データの鮮度が失われることになります。Oracle GoldenGate によるリアルタイムでのデータ連携により、その 2 つの懸念点を解消することが可能となります。

マテリアライズド・ビューと Oracle GoldenGate の違い

Oracle Database の機能で、Oracle GoldenGate と類似する機能としては、マテリアライズド・ビュー・レプリケーション機能があります。マテリアライズド・ビュー・レプリケーション機能と Oracle GoldenGate の違いについて紹介します。

マテリアライズド・ビュー

マテリアライズド・ビューは、MView ログに更新データを格納して、定期的にリフレッシュを行うことでデータ連携を可能としています。しかしながらマテリアライズド・ビューでは、リフレッシュの間隔が長くなれば、更新対象のデータ増えるためリフレッシュ完了までの時間が延び、データ転送量も増えていくため、更新量の多いオブジェクトに対する利用についてはネットワーク・トラフィックも含めた考慮が必要になります。

Oracle GoldenGate

Oracle GoldenGate では、Oracle Database の変更を常時キャプチャーしているため、更新による差分データを小分けに伝播しています。そのため、ネットワークトラフィックは大幅に低減することができ、且つ、リアルタイムでのデータ反映が可能となります。

Oracle GoldenGate を利用することでリアルタイム性のあるデータ同期やネットワーク負荷が軽減され、より大規模な構成にも柔軟に対応することが可能です。一方で Oracle GoldenGateを利用するには別途ライセンスが必要となりますのでご留意いただけますようお願いいたします。

Cloud 環境への対応

Oracle GoldenGate は、GoldenGate Cloud Service(GGCS) として、オンプレミスの Oracle GoldenGate 機能を、Oracle Cloud 環境で提供しております。

Oracle Cloud(DBCS)⇔ Oracle Cloud(DBCS)間だけでなく、オンプレミス環境と Oracle Cloud(DBCS) 間のデータ連携にも対応しております。

代表的な用途としては、下記がございます。

  • オンプレミスDBのクラウド移行
  • クラウドDWHへのリアルタイム伝搬
  • Cloud上BI/Analytics 環境へのリアルタイムデータ伝搬
  • DBCS間のディザスタリカバリ構成
  • マルチマスターDBCS構成
  • オンプレミス - クラウド間でのハイブリッドDB構成

まとめ

昨今、オンプレミスからクラウドへのシフトが急速に進むことが予想されております。その際のクラウドへの移行方法として、または、開発・テストの目的のためにレプリケーション機能は必要性を増しています。Oracle GoldenGate は新しい製品テクノロジーではなく、既に広く利用をされている機能ですが、高品質、高機能のデータ・レプリケーションを提供し、さらに、クラウド環境上へのデータ連携にも利用できるため本製品を改めて紹介させていただきました。

(オラクル事業部 サポート・サービス担当 芦名)

Oracle GoldenGate とは