今から始めるRHEL 7 第1回 RHEL 7の概要
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RHEL 7の概要
連載の初回として、まずRHEL 7の製品概要から説明します。今年6月に3年8カ月ぶりのメジャーバージョンアップとなるRHEL 7がリリースされました。今回のリリースはフルサポート、メンテナンスサポート1、メンテナンスサポート2の各フェーズ合わせて、今後10年間サポートを得ることが可能となっています。RHEL7の「メンテナンスサポート2フェーズ」の終了日は2024年6月30日までとなります。それ以降は追加料金によるサポート延長であるELS(Extended Life Cycle Support)が複数年、提供される見通しです(※)。
※ RHEL7のELSに関して、2019/11時点でまだアナウンスされていません。
RHEL 6においてはScalable File System(XFS)、ロードバランサー、HA、GFSなどの機能はAdd-On(別途の追加費用が必要)の扱いでしたが、RHEL 7からはXFS、ロードバランサー、High Performance Networkの3つの機能は基本サブスクリプションに含まれるようになっています。
次にリリースノートから主だったところをピックアップしていきたいと思います。
以下、ポイントをまとめていきます。
- 導入/ブート
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- グラフィカルインストーラーのデザインが一新されています。
 - 新しいブートローダー GRUB2 が採用され、GPT(GUID Partition Tables)のサポートにより2TB以上のディスクからの起動が可能になりました。
 
 - カーネル機能
 - カーネルはkernel-3.10が採用されています。以下の機能拡張が行われています。
		
- 大容量メモリー(最大3TB)のクラッシュダンプが可能
 - zswapによるスワップメモリーの圧縮
 - Automatic NUMA(Non-Uniform Memory Access) balancingによる、NUMA環境でのプロセススケジューリング・メモリー配置の自動最適化
 - /proc/meminfoへのMemAvailableの追加(利用可能なメモリーを正確に把握可能)
 
 - システム起動
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- systemdによるサービス管理
 
 - ファイルシステム
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- XFSを標準ファイルシステムに採用
 
 - コンテナ機能
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- Dockerによる軽量でポータブルなコンテナ環境
 
 - 開発環境
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- コンパイラ環境はGCC-4.8, glibc-2.17を採用
 - システムレベルでの高機能な性能解析ツールとして「Performance Co-Pilot(PCP)」を提供
 - KVMのホスト側からゲスト側のSystemTapを制御して、情報取得する機能が追加
 
 - ネットワーク
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- firewalldの追加による動的なルールの変更
 - teamドライバの追加、柔軟なネットワークチーミングが可能
 
 - 管理系
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- ハードウェアイベント通知機構(Hardware Event Report Mechanism; HERM)
 - OpenLMIシステム管理基盤
 
 
その他にもいくつかテクニカルプレビュー(先行的な技術検証用途)として機能追加が行われています。
※ 例として、kpatch(カーネルへの動的修正)、btrfsなどが挙げられます。
次回以降の連載では、これらの中から特に注目すべき新機能として、以下のトピックを取り上げる予定です。
- systemdによるサービス管理
 - XFSを標準ファイルシステムに採用
 - Dockerによる軽量でポータブルなコンテナ環境
 
ご期待ください。
(保理江 高志)
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