【プレスリリース】CTC、村田製作所、NTTデータ先端技術が共同でOpen Compute Projectに準拠したラックシステムを開発

日本国内のデータセンターに適した仕様で提供し、OCP普及を推進


ニュースリリース - 2016.03.07

各社ロゴ

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
株式会社村田製作所
NTTデータ先端技術株式会社

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(代表取締役社長:菊地 哲、本社:東京都千代田区、略称:CTC)、株式会社村田製作所(代表取締役社長:村田 恒夫、本社:京都府長岡京市、以下:村田製作所)、NTTデータ先端技術株式会社(代表取締役社長:三宅 功、本社:東京都中央区、以下:NTTデータ先端技術)は共同で、データセンターやハードウェアなどの設備仕様のオープン化を推進するOpen Compute Project(以下:OCP)の仕様に準拠した専用ラックシステムを開発します。NTTデータ先端技術が持つ集中電源方式の技術に基づき、村田製作所が電源ユニットの設計・製造を担当します。CTCが日本国内におけるお客様の要望を取り入れた専用ラックシステムの仕様を策定し、ラックの製造はラックメーカー数社が行います。

OCP専用ラックシステムが必要とされる背景

OCPは、米国Facebook社が自社サービスで使用しているデータセンターやサーバなどのハードウェア仕様をオープン化するために2011年に開始したプロジェクトです。全世界で150社以上が加盟し、OCP仕様のサーバ、ストレージ、スイッチ、ラックなどの開発が進められています。しかし、OCP専用ラックシステムは米国での使用を前提に設計されており、高さと奥行きが大きく、電源は日本国内で標準的に使用されている単相ではなく3相が標準として採用されています。コストについても一般的なラックよりも高額となるため、日本国内のデータセンターでOCP仕様のハードウェアを使用するためには、電源とラックサイズ、コストの課題を解決し、耐震性能を考慮した設計を専用ラックシステムに導入することが求められています。

OCP専用ラックシステム開発におけるCTCの役割

CTCは2014年1月に国内で初めて、OCPの運営団体であるOpen Compute Project Foundation からSolution Provider認定を受け、OCPが正式に認定する製品の販売、設計、構築、保守サポートを開始するとともに、OCPの普及に貢献してきました。また、OCP仕様のハードウェアを利用して、OpenStackをはじめとしたオープンかつスタンダードな技術を組み合わせた次世代ITインフラ「Open Cloud Package」の提供も2015年から行っています。今回のOCP専用ラックシステム開発に際して、お客様への提案・導入実績から得られた経験に基づき、日本国内のデータセンターで必要とされるラックの仕様を策定しました。お客様への専用ラックの販売、構築、保守サポートに加えて、従来から提供しているOCP仕様のサーバ、ストレージ、ネットワーク機器などを専用ラックシステムと組み合わせることでOCPを活用したトータルソリューションを提供します。

OCP専用ラックシステム開発における村田製作所の役割

村田製作所では従来から19インチ標準ラックに実装して使用するデータセンター向け集中電源製品の開発、製造、販売を行ってきたほか、ハイパワータイプのリチウムイオンバッテリーの開発も進めています。また近年、業界での関心が高まっているOCPにも参画し、当該プロジェクトへの貢献可能性について検討を進めてきました。今般、OCP専用ラックの開発に関して、村田製作所がこれまで蓄積してきた集中電源技術及びリチウムウイオンバッテリー関連技術とCTCおよびNTTデータ先端技術のソリューション技術を融合し、高効率・高品質な電源ユニットとリチウムイオンバッテリーを含むパワーシェルフの開発、製造、販売を行います。高効率の電源ユニットを用いた集中電源方式や高品質の内製リチウムイオンバッテリーなどにより、高効率で信頼性の高いOCP仕様に準拠したパワーシェルフを提供し、データセンター事業者の運用コスト低減に貢献します。

OCP専用ラックシステム開発におけるNTTデータ先端技術の役割

NTTデータ先端技術は、サーバラックシステムの省エネ化として、集中電源方式を展開しています。個々のIT機器からは電源を排除し、サーバラック全体の必要電力に応じた電源を集中化させて高効率にする方式で、サーバラックとして、5~10%の高効率化が期待できます。また、集中電源の台数を最適制御することとバッテリーを利用したIT機器のピーク対応を行う技術で特許※1を保有しています。これらの技術を使って、19インチラック、OCP専用ラック などに対応したシステムを販売していきます。また、集中電源の入力電圧をHVDC(高電圧直流給電)対応にすることによって、従来のUPSシステムに対して、省エネ、高信頼性、安全性に優れたシステムをデータセンター中心に提供します。

OCP専用ラックシステムの特長

集中電源にてAC-DC変換を一括で行うことで電力効率を向上させ、バスバー経由で各サーバ、ストレージ、ネットワーク機器に電源の供給を行うOCP機器専用のラックシステムです。世界各国で様々な送電方式・電圧※2が使用されていますが、米国では3相4線200Vまたは480Vが使用されることが多く、この方式に対応したOCP専用ラックが使用されています。しかし、日本では単相100Vまたは200V、3相3線200Vが使用されることが多く、米国仕様のラックは導入が容易ではありません。今回開発するOCP専用ラックは、3相4線方式はもちろん、3相3線方式や単相方式、さらに、高効率が期待されるHVDC(高電圧直流給電)方式の選択も可能とし、従来から使用されているサーバルームへの導入が容易となります。また、ラックの高さや奥行きも日本国内で標準的に使用されているサイズに変更予定で、米国で販売されているOCP専用ラックの7割程度の価格帯を検討中です。

販売開始時期

パワーシェルフおよび電源装置については、サンプルの提供を2016年8月、製品販売を2017年3月に計画しております。また、多目的バッテリーモジュールについては2017年3月の製品販売を目指して開発を進めており、その他のモジュールについても順次開発・販売を進めています。
尚、今回発表するラックシステムは、2016年3月9日~10日に米国カリフォルニア州サンノゼで開催される「OCP U.S. SUMMIT 2016」に製品サンプルを出展します。

仕様:OCP専用ラックシステム

サイズ 2,000mm × 600mm × 1,000mm
対応オープンラックバージョン V1 、 V2対応
ラックシステム重量 203kg
耐震性能 NEBS Level3およびNTT耐震基準のクリアを目指す
入力電圧※3 単相AC:200-277Vac
3相AC:Δ結線(Line to Line)
200-277Vac
Y結線(Line to Neutral)
200-277Vac
HVDC: 240-380Vdc
最大出力※4
(DC電圧12.3V)
18kW(6台)、15kW(N+1台冗長)、9kW(2N冗長)
(最大6台3kW搭載可能/1シェルフ当たり)
AC出力 JIS C8303 2極コンセント4口装備(日本仕様)をベースにしてC13アウトレット4口装備(北米仕様)にも対応可能
Shelfの高さ 2 OU※5
拡張性 2つのフリーベイに多目的バッテリーモジュール、インバータおよび監視装置(SNMP対応)を搭載可能(開発中)
STS※6モジュールの搭載についても対応予定
PSU部 効率 Titaniumクラス (96.2% at 50% load)
電力密度 30.4W/in3
最大出力 3kW(DC12.3V)
製品高さ 40mm(1RU以下)
多目的バッテリー
モジュール部
容量 14Ah
出力 3.3kW
最大瞬間出力 6kW
セル活物質 正極:燐酸鉄リチウム、負極:グラファイト
安全性(セル) 釘刺・熱安定・過充電・外部短絡・圧壊・衝撃・内部短絡の各試験において、EUCARハザードレベルはすべて4以下(リチウムイオン電池セルの安全性試験準拠規格:SAND2005-3123、SAE J2464、QC/T743-2006、IEC 62660-2、UL1642、JISC8715-2)

ラック・イメージ図

ラック・イメージ図

  • *1 特許第57710900号「電源供給システム」。
  • *2 米国や欧州では4本の電線で3相電力を伝送する3相4線方式が一般的ですが、日本やフィリピンなど一部の国・地域では3本の電線で3相電力を伝送する3相3線方式が一般的に使用されています。また、同じ方式でも米国では210V程度の電圧が多く使われる一方、欧州では400V前後の電圧が一般的に使用されるなど、国・地域によって様々な方式・電圧が使用されています。
  • *3 電源単体の仕様ではなく、ラックとしての仕様です。入力仕様に応じてパワーシェルフ内の結線を変更します。
  • *4 入力仕様により変動します。
  • *5 OU:オープンラックユニット。1OUは、48mm。日本国内で一般的に使用される1RU(ラックユニット)は、44.5mm。
  • *6 STS(Static Transfer Switch):無瞬断系統切替装置。
  • * 記載されている商品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
  • * 掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

本件に関するお問い合わせ先

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

広報部 担当:山本
TEL:03-6203-4100/E-mail:press@ctc-g.co.jp

株式会社村田製作所

広報室 担当:吉川/竹田
TEL:075-955-6786 /E-mail:prsec_mmc@murata.com

NTTデータ先端技術株式会社

営業推進担当:齋藤/大西
Tel:03-5843-6860