<日経クロステック EXPO 2021 特別講演レポート> 変革する時代の事業成長をDXで実現する最先端デジタル技術

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セミナー&イベント - 2021.11.01

     
NTTデータ先端技術は、2021年10月11日~10月22日に開催された「日経クロステック EXPO 2021」に出展しました。開幕初日には、NTTデータ先端技術 代表取締役社長 木谷強と、日経BP総合研究所 大和田尚孝氏が「変革する時代の事業成長をDXで実現する最先端デジタル技術」と題して対談を行い、大変革期のIT投資にどのような視点を持つべきか、クラウド・AI技術・ゼロトラストセキュリティに代表されるIT環境のデジタル化について、最先端のデジタル技術の適用事例を用いて紹介しました。

急速な技術革新の進展と世界的なパンデミックの影響

冒頭にNTTデータ先端技術 代表取締役社長 木谷強によるショートプレゼンテーションを行いました。
レイ・カーツワイル氏が提唱するシンギュラリティ(2045年頃にコンピューターの能力が人間の知能を超えると言われる技術的特異点)に示されるように、5G・IOWNなどの通信技術、AI(Deep Learning)技術、創薬・ゲノム編集などバイオテクノロジーに関わる最新技術も、指数関数的に進展しています。

このように急速に技術革新が進んでいる中で、世界的なパンデミック(COVID-19)が起こり、旅行や飲食関係の業界は大きな影響を受けました。そして、何と言っても仕事の仕方が変化しており、リモートワークが普及したことによりZoomなどを活用したオンラインでのコミュニケーションが増加しました。これは対面でのコミュニケーションと同等あるいはそれ以上の効率化を実現しますが、同時に安全なセキュリティの基盤も必要となり、対応を急ぐ企業が増えています。

医療分野向けのNTTデータグループの事例としては、マイクロソフト社およびインドの現地スタートアップ・DeepTek社とともに、X線画像を用いてチェンナイ市で実施している結核のAI画像診断について紹介しました。全世界を見ますと、インド・インドネシア・フィリピン・アフリカ諸国など含めて年間で約1000万人が罹患し、そのうち約150万人が亡くなっており、WHOの重要な取り組むべき課題の一つになっています。この取り組みは、移動する車中にてスキャンし、クラウド上でAI画像処理を行うことにより医師の診断を支援するもので、3万件のうち約1000人の結核被疑者を検出しています(2021年8月現在)。



最先端デジタル技術の動向と最新事例の紹介

続いて、事業成長のために必要な最先端のデジタル技術として、クラウド・AI技術・ゼロトラストセキュリティの最新動向について事例を交えて紹介しました。

クラウド化はどんどん広がり、経済産業省のDXレポートにおいてもレガシー脱却が叫ばれています。新規サービスについて、マイクロサービス・コンテナを使いパブリッククラウドにてAgile開発していく動きは既に進んでいます。ただ、一番大きな課題としては、既存の大規模なシステムをどのようにクラウドリフト・クラウドシフトしていくかということで、インフラレイヤであるIaaSのクラウドリフトは既に行われていますが、業務アプリケーションとデータベースがモノリシックな構成になっている場合、クラウドに乗せ換えることが難しく、API連携により外部サービスとつなげたり、周辺だけをクラウドに乗せ換えたりすることで、ハイブリッドでの運用が進んでいます。
また、データ分析環境をクラウド上に構築する動きが加速しており、データマネジメント・データガバナンスが非常に重要となってきます。

次にAI技術については、NTT研究所が開発した自然言語処理モデル「日本語版MASS」を活用した新聞社との取り組みを紹介しました。これは過去の新聞記事6万件を学習させたモデルに、記事本文を読み込ませると自動で記事見出しを生成するというもので、人間が書いた見出しと見分けがつかないぐらい高精度です。

最後は、リモートワークの普及やクラウドサービスの使用もあり企業での導入が加速している「ゼロトラストセキュティ(=決して信用せず(ゼロトラスト)、アクセス毎に検証するセキュリティモデル)」の事例についてです。境界防御モデルにおける脅威をクラウドセキュリティソリューションにて解決し、さらにはアクセス負荷に耐える高いセキュリティ基盤を紹介しました。

大変革期のIT投資に必要な視点

続いて、これまでのプレゼンテーションで挙がったさまざまなトピックに関して、対談形式で議論を深めました。

大和田氏: 世の中変化していく中で、DXにおけるIT投資をどう考えていけば良いのかについて、パンデミック(COVID-19)への対応や働き方改革など、IT環境にも大きな変化が起こりました。やるべきことが多くある中で、企業の経営者はこれからのIT投資をどのように進めていけばよいでしょうか。

木谷: お客様からDXに関するさまざまなご相談をいただくなかで、まずはDXにおけるビジネス変革の分類で方向性を整理するお手伝いをしています。大きく3つのタイプがあり、タイプ1は、イノベーションにより新たな事業を作り出していく取り組み。タイプ2は、予測される環境変化に備えてコア事業の周辺もしくは延長線に新たな事業を創造していく形。タイプ3は、例えば自動車会社のように、デジタル技術を活用して開発期間を大幅に短縮するなど、コア事業の強みを一層強化していくというものです。いずれにせよデジタル技術が重要になります。また、これらの事業変革と併せて社内IT環境も整えることで生産性を高めていくことも必要です。



大和田氏: 目的を明確にしたうえで、投資計画を考えていく必要がありますね。次に、先ほど新聞社との取り組み事例をご紹介いただきましたが、今後、AI技術はどのようにビジネスに関わり、どのように展開されていくとお考えですか。

木谷: 現状の活用例としては、ビジネスプロセスの一部をAIに置き換えるというケースが極めて多いです。ただ、AI技術は成熟してきており、事業のコアとなる部分で活用されることも増えています。専門家が時間をかけて実施しているような業務、例えば保険業界では、保険金請求に伴う査定業務に自然言語処理を活用することで、一定のルールや過去の事例をもとに自動化を図り、手続きに要する日数の短縮を実現しています。

大和田氏: コアの業務や高度で専門的な業務にAIが活用されているのは興味深いですね。次はセキュリティについて聞かせてください。リモートワークの普及などで働き方が変化しているなかで、マルウェア感染や情報漏洩のリスクが拡大しており、セキュリティインシデントの発生に繋がっています。ますます激しくなるサイバー攻撃などに対して、どのようにリスクに向き合っていくべきでしょうか。

木谷: サイバー攻撃が熾烈を極めています。代表例として標的型攻撃が挙げられますが、多くは電子メールを介してウイルス感染するというものです。ある企業におけるランサムウェア「WannaCry」による感染の広がりを調査した事例では、3時間のうちに数千台を超えるPCやサーバーに感染が広がっていきました。この企業はセキュリティ対策が非常によく行き届いていたのですが、なぜこんなに感染したかというと、シンクライアントを活用してVDIのサーバーにアクセスしていましたが、最新パッチが当てられておらず、その結果、メモリ上で「WannaCry」に感染したのです。このようなインシデントが頻発するなかで、ゼロトラストセキュリティへの注目が高まり、導入が加速しています。その要素として、UEM・CASB・SDP・EDRなどが挙げられますが、全てを導入するのはコスト面からも負担が大きく、お客様の現状分析を行ったうえで、優先順位を付けて導入を進めていくことが重要です。

大和田氏: 最後にNTTデータ先端技術さんの今後の展望をお聞かせいただけますか。

木谷: 1つ目は、人材育成を含めた技術力の強化。2つ目は、DX実現に向けたグランドデザインを描けるテクノロジーコンサルティングの強化、3つ目はNTTデータの海外事業支援を含めたグローバル展開の強化です。

大和田氏: ありがとうございます。これからの時代、デジタル活用の巧拙が企業の競争力に直結していくのだと思います。木谷社長からもお話があったように、ビジネスとテクノロジーの全体のグランドデザインを描くことが今まで以上に重要になるでしょうね。

特別講演アーカイブ配信中

日経クロステック EXPO 2021では、11月1日~11月14日までアーカイブ配信を実施しています。ぜひご視聴ください。

変革する時代の事業成長をDXで実現する最先端デジタル技術
https://active.nikkeibp.co.jp/expo/2021/atcl/seminar/00172/