
MVP Summit 2025参加レポート(番外編)
さる2025年3月25日~3月27日に行われました、Microsoft主催の「MVP Summit 2025」に参加しましたので、簡単にお話しさせていただきます。
MVP Summitとは
そもそも、「このイベントは何?」と思われる方も少なくないと思います。このイベントは、Microsoftが主催する、Microsoft Most Valuable Professionals(MVP)のためだけに行われる、特別なクローズドイベントです。全世界のMVPが米国レドモンドのマイクロソフト本社(Microsoft HQ)に招待され、そこで専門領域別の各種セッションが行われる、という大変なシロモノなのです。
まず前提として、MVPアワードを受賞した方のみがこのイベントに参加できるのです。またMicrosoft社員も専門領域に精通した適切なメンバーだけがアサインされ、我々を迎えてくれます。内容に関してはすべてNDA(Non-Disclosure Agreement)契約を前提に共有され、詳細はもちろん、概要レベルを含め、その一切が公開できない、機密度の非常に高いイベントになっております。
本イベントの振り返りを日本のMicrosoft社員が行っていますね。A Recap of the MVP Summit 2025 | Microsoft Community Hubをご覧いただくと、どんなイベントなのか、イメージいただけるかと思います。
日本でのMVPプログラムは2003年4月から正式にスタートしているのですが、私は当初から途絶えることなく連続受賞させていただいております。大変ありがたいことに、日本からのMVP Summit参加については、可能な機会すべてで現地参加させていただいております。当初は現地参加のみ、パンデミック発生後はオンライン→ハイブリッド、とかたちは変えていますが、毎回非常にエキサイティングで示唆に富む、素晴らしいイベントだと確信しています。Microsoft関係者の方はもちろん、繁忙期にも関わらず、送り出していただいたお客様や同僚に、感謝したいと思います。
Microsoft Most Valuable Professionalsとは
端的に申し上げると、Microsoft製品やソリューションに深い洞察力と情熱を持って、情報発信やコミュニティを盛り上げるエンジニア「個人」を表彰する制度です。特定のMicrosoft製品やソリューションのスペシャリストであることが前提で、業務ベースではなく「ボランティア」で活動しているエンジニアが表彰の対象になります。詳細については、Microsoft MVP について | Microsoft MVP 制度についてのまとめなどがわかりやすいと思います。
表彰を受けると、Microsoft製品の優待利用やMicrosoft Summitへの参加等、特典を得ることができます。ただし前提として、エンジニア個人として、Microsoftと直接NDAを締結する必要があります。このNDAによりSummitで得たものはもちろん、MVPとして得た情報のほとんどすべては、勤め先の企業内を含め、共有することができないのです。
ちなみに、弊社では現在、私を含め4名のメンバーがMVP表彰を受けております。ご興味のある方は、当社社員が、Microsoft MVPを受賞 | 株式会社NTTデータ先端技術からチェックしてみてください。我々を含め、全世界で4000名規模、日本では190名弱(2025年5月現在)の受賞者がいらっしゃるようです。
まずはシアトルへ
Microsoft SummitはMicrosoft HQで行われます。Microsoft HQはワシントン州レドモンドに所在します。レドモンドは街全体がMicrosoftの主要施設で占められ、周辺には滞在するためのホテルやレストランなどが点在しています。
レドモンドへの典型ルートは、空路でSEA-TAC(Tacoma国際空港)に到着し、Link Light Railや ST Express Busを使うことです。つまりシアトル経由でレドモンドに足を延ばす、という図式です。
ESTAで2回目以降の入国だと、APC(Automated Passport Control)が使えて便利です。ほとんどの作業が自動化されていて、審査官からの質問もほぼありません。レーンに人も少ない状況でしたので、すぐに審査が完了、ゲートをくぐることができました。
Link Light Railはシアトル市内を走るローカル列車のことで、主要な駅は、地下鉄駅やバスターミナルに連結していて、非常に便利です。後述するバスも含めSound Transitが運営しています。搭乗にはチケットを購入しますが、都度購入は面倒なので、一般にはOrcaカードにチャージして利用します。OrcaカードをWebサイトに登録すれば、クレジットカードでの電子チャージが簡単にでき、さらに便利です。3.5$ぐらいの料金でリーズナブルです。SeaTac / Airport駅 = Westlake駅間を乗りました。
シアトル市内
シアトルダウンタウンまで来たので、レドモンドに行く前に、観光と腹ごしらえをすることにしました。
シアトルの観光名所といえば、最初に挙がるのが「Pike Place Market」でしょう。もともとは海岸沿いにある魚市場で、海産物を中心としたショップが多数、軒を連ねています。野菜や果物なんかを売っているお店もありますが、観光地化しており、それ以外の民芸品(革製品やローソクとか)なんかも、各種取り揃えられています。横に細長い建物であり、階構成が複雑なので、ちょっと見て回ると、魔窟に来たのか、と勘違いしてしまう側面もあります。
地階に行くと、実際バラエティ豊かな「プロショップ」がたくさん存在しています。写真を見ていただくとわかるのですが、東京・中野の「中野ブロードウェイ」に通ずるなにかを感じませんか?
もちろん、有名スポットもたくさんあります。人気の高い「The First Starbucks」に行ってみました。ご存じの方も多いと思いますが、他の店と異なり、ロゴが創業当時のものを使い続けています。大昔から何回も足を運んでいるのですが、周りに人がごった返し、店の中に入るのも大変だった時代からうって変わって、今は整列入店しないとダメになっているようです。ラテを頼むと、名前を聞かれて渡されるときに「呼ばれる」のが、今も昔も楽しいですね。そのほか、時計看板のすぐ下にある鮮魚店「Pike Place Fish Market」も健在ですが、残念ながら、魚のスロー&キャッチのパフォーマンスはやっていませんでした。
食事はいろいろ探した挙句、「Pike Place Chowder」でいただきました。シアトルはクラムチャウダーがとてもおいしい土地柄で、もっとも有名なのはIvar’s Clam Chowderなのですが、この地区にはないため、次においしいところは、ということで。Crab, Oyster & Chorizo Chowderというものを、Bread Bowl(パンのボウル)に入れてもらいました。お昼時で人が多く、なかなか大変でしたが、とても美味でした。
Microsoft HQに行く
お腹もできたところで、レドモンドに改めて向かいます。ST Express Busとは路線バスのことで、シアトル=ベルビュー=レドモンド間を結んで運航しています。Westlake駅に隣接した停留所 4th Ave & Pike ST から State Route 520 & NE 40th STまで乗車します。こちらのバスも3$ぐらいですので、リーズナブルです。ワンマンバスで日本と似ていますが、降りるときにはボタンではなく「黄色いヒモ」を引くことで「STOP REQUESTED」の文字が表示されます。ちゃんと止まってくれます。
ここから、Microsoftの会場までは徒歩になります。実はこれ中々キツイのですが、楽しみでもあります。Microsoft HQは別名「キャンパス」とも呼ばれ、緑が非常に豊かな環境に、建物が点在している施設です。ストリートの要所にはこういった看板が随所に置かれていて、キャンパスのどの当たりにいるのか、理解することができます。
到着当日ではありませんが、別の日に朝駆けで向かう途中に「カナダ雁」に出会いました。すぐそばを歩いていたのです。びっくりです。ちなみにシアトル・レドモンド界隈では、雁だけでなく、リスなんかも普通に歩いていたりします。日本でのハトみたいで、かわいらしい限りですね!
この日は前日でイベント登録だけでしたが、翌日から3日間のセッションがスタートした、というわけです。
みんなは何をしているのか
詳細は一切お話しできないMVP Summitですが、セッションの合間にみなさんが何をされているのかというと、まずはネットワーキング作りかと思います。外国のMVPの方と仲良くされている方もいらっしゃいますが、やはり言葉の壁はあるもので、日本人同士でまずは盛り上がる、ということが多いようです。
英語圏の方であっても、国別の意識があるのか、同国でユニフォームを作成して、並んで歩いている…みたいな光景はあったりします。MVPはコミュニケーション力が高い方が多いので、いろいろな国の方と、仲良くされているのが、あちこちで見られました!これはすごいことですね!
ちなみにイベント期間中に、大規模なネットワークパーティが行われたりもします。厨房施設がある大きな建物に、参加者全員で集まって、思い思い、仲間や日頃会えないメンバーとの親交を温めます。このパーティこそ、イベントの最も大切な瞬間、なんだなぁと、いつも感嘆しています。下記は、日本のメンバーがパーティで一同に集まった写真となります。
また「記念碑の確認」的な行動もあったりします。ハブ会場に当たる施設内に、本年度のMVPとRD(Regional Director)受賞者すべてが記載されたFlagがあるのですが、そこで自分の名前を探すのです。以下は、自分の名前を探してポーズをとっている私です。Summitに来られなかったお仲間の名前を探して、SNSで証跡を送ったり…なんてこともしたりしていました。
そのほか、現地参加の方のお楽しみとして、参加記念品の授与やCompany Storeでのお買い物があったりします。参加記念のグッズを用意してくれていて、現地参加者は現地で受け取ることができます。Tシャツとかトートバックとかそんな感じのグッズです。
Microsoft HQには従業員および来訪顧客向けの記念ショップ「Company Store」が存在します。Microsoftハードウェア・ソフトウェア製品とMicrosoftロゴグッズが販売されています。記念やお土産目的で購入される方が多くいらっしゃいます。私も同僚、後輩へのお土産にグッズを購入しました!
Summitに訪れた際、私が必ず訪問するのは「Microsoft Visitor Center」です。「すべての家庭にPCを」をスローガンにしたMicrosoftの理念を追いかけるように、歴史的なPC遺産やソフトウェアを中心に、最新のテクノロジーも含めた様々な内容を展示公開した、施設です。Company Storeの向かいに併設されているのです。私のお気に入りは、Microsoft創業メンバーのポートレートボードです。ポール・アレンやビル・ゲイツの若かりし頃の写真が、鮮烈です。並んだところを撮っていただいた写真になります。Microsoftは今年創業50周年になりますので、感慨深いものがありますね。
日本人コミュニティの夜
今回、日本人グループは20人強の方が参加されたようなのですが、皆さんいろいろな方と、ナイトライフも楽しまれていたようです。既述のネットワーキングパーティでもそうでしたが、その日その日でいろいろな方をお誘いして、食事やお酒を楽しまれていたようです。
私自身もそうでして、初参加の弊社野口と一緒に行動を共にすることが多かったのですが、他のMVPの方にいろいろ連れて行っていただいたりしました。Jack’s BBQというお店のプレートセットのボリュームがすごくて、おいしかったです。
最終日、シアトル滞在時には必ずお会いする、知古の友人に連れて行っていただいたfogo de chãoが素晴らしかったです。ご存じの方いらっしゃると思いますが、いろいろなお肉の塊がやってきて、目の前で切り分けてくれる、素敵なお肉の食べ放題ができるのです。その時ご一緒したメンバー5人で何を話したのかはヒミツとさせていただきますが、印象深い夜を過ごすことができました。
技術の話ができないため、今回は番外編となりました。本記事にお付き合いくださり、ありがとうございました。
- ※文中の商品名、会社名、団体名は、一般に各社の商標または登録商標です。