第2回 プライベートクラウドを構築してみる~その1~
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シダ部長
若い頃は色々な大規模開発プロジェクトで開発者として辣腕を振るい、その後は経験を活かし炎上プロジェクトの火消し人や、先進的技術の R&D などに携わり「受け攻めのシダ」の異名をもつ。

ハブカくん
シダ部長の指揮する部署に配属されたばかりで、シダ部長のもとで流行りの「クラウド」について七転八倒を繰り広げる。

竹本トミー
未来の世界のハコ型ロボット
プライベートクラウド

うわぁーん、シダ部長ぉー、僕もプライベートクラウド欲しいよぉ

……。

ハブカくん…君は何でそうベタな登場をするんだ?パクりじゃなくて、もうちょっとオリジナリティのある登場のしかたってものがあるだろうに…

(トミーにだけは「オリジナリティ」とか言われたくない…)

やぶから棒に何を言いだすかと思いきや、一体何があってそう思ったのかちゃんと話してくれないと困るよ…

だって、だって、骨川商事に勤める友人が…社内でプライベートクラウドが…すごいの構築して、えっと、それがすごく社内で評判があげぽよで、上司からも高評価をゲットしたって自慢するんだよぉーうわぁぁぁんん

(日本語で頼む…)

えーと、つまり君の友達がその骨川商事の社内にプライベートクラウドを構築して、それが上司に評価されたという話かね?

だからそう言ってるじゃないですか!

(落ちつけオレ。頑張るんだ)

あー、オホン。そう思うなら君もちゃんと調査して技術を習得し、我が社のプライベートクラウドを構築するべく提案でも提出したらいいじゃないか。

えぇー!?なんか面倒くさい…今すぐ構築したい。

いや、あのね、きっとその骨川商事に勤める君の友人だって、一人で勝手にプライベートクラウドを構築したわけじゃなく、提案やら設計やらを職場の人達と協力しながら進めていき、構築や運用をしながら使い方の説明や啓蒙活動を行なって、そうやって努力した結果として評価されたのだと想像するんだけど、君が得たいのはそうゆうことなんじゃないかい?

やだやだ、今すぐ構築したい、今すぐ評価されたい、今すぐ骨川商事のスネ田をぎゃふん!と言わせたい。

……。

(「ぎゃふん!」って…)

わかった…口で説明してもわからないなら、実際にやってみていかに自分が無茶なことを言っているか自覚してもらおうか。

さすが部長!やったね!そうこなくっちゃ!
サーバールームにて~

ではまず最初に、環境を構築するまえにOSのインストールを済ませておいてくれたまえ。今回はUbuntu 14.04.3 を使用しよう。

えー!?このクラウド時代にOSのインストールを手動でやるんですか!?

いやいや、そのOS環境を提供してくれるクラウドがあったらそもそもこんな話してないだろう?いいからつべこべ言わずにOSをこのPCに入れたまえ。

なんかもっと他にエレガントな方法ないんですか?例えばDVDとかから起動するとすぐにクラウド環境が試せる「お試しLiveDVD」みたいな、エレガントでスマートなものとか…

(Wakame-vdcっていうクラウド基盤ソフトウェアを簡単に試せるLiveDVD(※1)があるけど、ハブカくんのためにならないから黙っておこう…)

OSのインストールなんて簡単だから、さっさと済ませてくれないか?話が先に進まないよ。

はぁーい、わかりましたぁー。
10分後

シダ部長、インストール終わりました。次は何をやればいいですか?

では、今回はこの1台のPCにOpenStackというクラウド基盤ソフトウェアをオールインワン構成で入れてみようじゃないか。

えー?クラウドなのに1台?ショボ…

んー、君は冒頭で「今すぐ構築したい」って言ってたよね?ここで複数台構成で構築とかやろうものなら、いつまで経っても環境が完成しないよ?いいの?

…わかりました、ひとつで充分ですよ…

結構。ではこのOpenStackの開発コミュニティが公開しているopenstack-ansibleというプロジェクトがあってだね、このプロジェクトの成果物を利用することで、ansibleというデプロイメントツールで簡単に環境を構築することができるから、以下の手順書を参考に実施してみてくれないか?

まかしてくださいよ。
手順
gitコマンドを使用するためにgitパッケージをインストール
$ sudo apt-get install git
gitコマンドで openstack-ansible を入手
$ sudo git clone -b liberty https://github.com/openstack/openstack-ansible /opt/openstack-ansible $ cd /opt/openstack-ansible
openstack-ansible の実行環境を整えるためのスクリプトを実行
$ sudo ./scripts/bootstrap-aio.sh $ sudo ./scripts/bootstrap-ansible.sh
ansible playbook の実施
$ sudo ./scripts/run-playbooks.sh

えーと、まずは apt-get コマンドで最低限必要なパッケージをインストールして…

次に git コマンドで openstack-ansible をダウンロードし…

ダウンロードしたパスに移動して ansible を実行するために必要な環境を作る bootstrap スクリプト類を実行し…

最後に構築を実行…
約2時間後

zzzZZ…あ、終わってる。シダ部長!終わりましたよ!次はどうすればいいですか?

では次は、インターネットブラウザでこのPCのこのURLにアクセスしてみてくれ。

ぽちぽちぽちっと。おぉ!なんかWebUIの画面が表示されました!


ではopenstack-ansibleを実行した環境の/root/openrcファイルに認証情報が記述されているから、それを参考にこのWebUIにログインしてみてくれたまえ。

はーい。ぽちぽちぽちっと。わーい、やったー、なんかソレっぽい画面が表示されましたー。


あとは以下のドキュメントを参考にしながら操作してみるといいよ。
http://docs.openstack.org/user-guide/dashboard.html
http://docs.openstack.org/user-guide/dashboard.html

わかりました!早速クラウド王になってみせます!

(何だよ「クラウド王」って…)
数時間後

ということで、数年前は構築すら大変だったIaaS環境の構築もいまや色々な方法で簡単になってきていることがわかったかな?

はい!でもこれじゃぁ構築に時間がかかってしまい、待っている間に眠くなってしまうんですが…。

(いや寝るなよ!他の作業やればいいんじゃ…)

そうか、眠いか。眠くなるってことは十分慣れたっていうことだから、きっとハブカくんにとっては朝飯前な作業になったわけだね?

ぇえ~?朝飯前にIaaS構築とか訳わかんないんですけどぉー。まぁでもこれなら寝ながらでも構築できそうですね(笑)

(いや、寝てたら構築できないって…)

では、12月1日から12月25日までやっているAdventCalendarという技術系イベントがあるんだが、腕試しに1つ、このConoHa AdventCalendar 2015にエントリしてきてくれないか?

えー!?それって業務時間中にやっていいんですか?

君は業務時間に朝飯食うのかい?

そんな屁理屈…。おまけにこのConoHaって何ですの?

これはGMOインターネットという会社が提供しているパブリッククラウドだよ。

え?パブリッククラウドにプライベートクラウドを構築するんですか?何で?そのままパブリッククラウドとして使えばいいじゃないですか?

本来この連載の第2回目はパブリッククラウドとプライベートクラウドの連携について話しをする予定だったところを君のワガママにつきあったせいで予定が狂ったんだよ。だから無理矢理こーやってでもパブリッククラウドと絡めておかないと…(また部長会議で他の部長達から笑われるんだよ!ったく…)

絡めておかないと…?

まぁ、何だ、プライベートクラウドだけしか扱わないと不公平かなぁ?なんてね。

(変なシダ部長…仕事で疲れてるのかなぁ…?)

ぽちぽちぽちっとな!シダ部長!ハブカくんの名前でエントリ完了しました。


は?はぁぁ?なに勝手に人のアカウントで登録してるんだよ?っていうかどうやって僕のアカウントで操作したのさ?

ふふふ、未来の世界のハコ型ロボットにとってはこんなの朝飯前だよ?

朝飯前っていうか、その前にコンプライアンス的にダメだろ…

まー、もうエントリしちゃったようだし、話の展開的にも面白そうだから腕試しだと思って書いてみてよ。

僕ドキュメントとか文章とか書くのとても苦手…というかほとんど書いたことないんですが…

だからだよ。これを機に文章を書く機会を増やして少しずつ文章力を培ってみなさい。何事もやらないと上達しないんだよ?

はぁ…、わかりました…。

あ、ちなみに自分のブログに書くかどこかのブログサイトに投稿するんだよ。

え?会社のコラムとかに掲載してくれるんじゃないんですか!?

なに言ってるの!このコラムに掲載するためには色んな人の稼働が発生するんだよ?師走の忙しいときに君の記事なんか掲載する余裕ないよ!

ぎゃふん!

あとね、冒頭で私は「実際にやってみていかに自分が無茶なことを言っているか自覚してもらおうか」って言ったよね?まだこれ達成してないんだよね。だから次回はプライベートクラウド環境を支えるための運監システムとかを構築してもらうからね。

ぎゃふん!ぎゃふん!

(結局自分が「ぎゃふん!」って言わされてる…)
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