Oracle Exadata Database Machineとは
*以下は、サポート契約締結中のお客さまに2019年6月に配信したサポートレターより一部抜粋して掲載しています。
Oracle Exadata Database Machineとは
Oracle Exadata Database Machine (Exadata) とは、データベースサーバー、ストレージサーバー、Infiniband ネットワークで構成された、Oracle Database の実行に最適化された統合型プラットフォーム (アプライアンスサーバー) です。
今号では、Exadata とオープン系システムを比べてどこに優位性があるのか紹介させていただきます。
Exadataの優れている点
Exadata を構成するハードウェアとソフトウェアには Oracle 社によるテストに基づいたチューニングが施されており、ハードウェア・ソフトウェアの両面から Oracle Databaseの動作に関する最適化が行われています。このため一般的な構成に比べ高いパフォーマンスを発揮することが可能となっています。
また当然ではありますが、出荷時にハードウェア・ソフトウェア全体が動作保証済みかつ、単一障害点のないシステム構成にされていますので、オープン系システムと比べると、ハードウェア選定が不要となる、PoCにかける時間を短縮できるといった優位点が存在 します。
Exadata が Oracle Database の動作に関して高いパフォーマンスを発揮するため実装しているハードウェア・ソフトウェア上の主な要素は以下のようになります。
ハードウェア面 (※ Exadata X7-2 のスペックです。)
- 1) データベースサーバー
- 24コアのプロセッサ2基とデフォルト384GBのメモリ(最大1.5TB)を搭載しており、一般的な環境に比べて高い性能を持っています。
- 2) ストレージサーバー
- 以下の2種類のストレージサーバーから選択できます。
- Extreme Flash(EF) ストレージサーバー
オールフラッシュ構成でI/O待機時間の削減が可能となっています。 合計51.2TBのフラッシュを搭載しています。- High Capacity(HC) ストレージサーバー フラッシュとディスクを組み合わて適切に使用させる構成です。オールフラッシュ構成ほどのI/O性能は出ないものの、大容量を確保しつつ、ディスクのみの構成と比べるとはるかに優れたI/O性能を実現させています。
合計120TBのディスク容量と25.6TBのフラッシュ容量を搭載しています。 - 3) Infiniband ネットワーク
- Exadata のコンポーネントを高速かつ低遅延な Infiniband ネットワークで接続することにより、I/O スループットを高速化させています。
ソフトウェア面
- 1) Exadata System Software
- データベースサーバーとストレージサーバーへ独自の通信プロトコルの提供とストレージのボトルネックを無くすための独自の機能を提供しています。
独自の機能については後述の Exadata System Softwareの項で説明します。
Infiniband
Infiniband はネットワークインタフェース規格のひとつで、広帯域かつ低遅延という特長を持っています。Exadata 筐体には専用の Infiniband スイッチが搭載されており、40Gbps の Infiniband ネットワークを構成しています。
Remote Direct Memory Access (RDMA)と呼ばれる、直接メモリにアクセスすることで処理のオーバーヘッドを無くす技術がありますが、Exadataでは Infiniband と RDMAを併用することで高速な処理を可能としています。また、Infiniband ネットワークに複数の筐体を接続することも可能で、これにより筐体レベルでの容易なスケールアウトも可能となっています。
Exadata System Software
Exadata System Software は、OS 部分に相当する Exadata 独自のソフトウェアであり、データベースサーバーとストレージサーバーの両方にインストールされています。Exadata System Software はデータベースサーバーとストレージサーバーに独自の通信プロトコルを提供することで通信や I/O の待機時間を短縮し、ネットワーク周りのボトルネックを解消しています。
もう一つの重要なポイントとして、Exadata System Software はストレージアクセスに関する以下の独自機能によりストレージアクセスによるボトルネックも発生しにくくしています。
- Smart Scan
- Smart Scanは、データ検索のSQL操作をデータベースサーバーからストレージサーバーにオフロードします。ストレージサーバーがデータをフィルタリングし、必要なデータのみをデータベースサーバーに送信することによって、データベースサーバーの処理を高速化します。
- Smart Flash Cache
- Smart Flash Cache は、頻繁にアクセスされるデータを自動的にフラッシュにキャッシュし、アクセス頻度の低いデータはディスクに保存することによって、コストパフォーマンスの高いストレージを実現します。
- ストレージ索引
- ストレージ索引は、メモリで管理される索引からディスクに目当てのデータが存在するかを判断します。ストレージ索引を使用することによって不要なディスクへのアクセスを減らすことができ、パフォーマンスを向上させます。
ストレージアクセスは Oracle Database の動作上ボトルネックになりやすい箇所といえますので、これらの機能はデータベースが動作するにあたってのボトルネック解消に大きく寄与するものとなります。
まとめ
Exadata は Oracle 社がチューニング、テストを施した統合型プラットフォームです。
オープン系システムと比べ、ハードウェアの選定期間やPoCを短縮できるだけでなく、高性能なハードウェアと独自のソフトウェアにより、Oracle Database を高いパフォーマンスで実行することを可能にしています。
高い応答性能が求められるシステムや、処理量が大きく高いスループットが求められるシステムを扱う案件では、Exadata の導入もご検討ください。
(オラクル事業部 サポート・サービス担当 佐藤(龍))