Windows 10コラム 第3回 「CBとCBBはどうやって切り替える?」


今回は第1回 でご紹介しました「サービシングモデル」のうち、継続的に機能が最新化されていくCurrent Branch(CB)・Current Branch for Business(CBB)について取り上げたいと思います。もう1つのサービシングモデルであるLong Term Service Branch(LTSB)についてはそもそもメディアが分かれているので、LTSB用のメディアを使用すれば自動的にLTSBモデルを選択することになりました。(第2回 参照)しかし、CBとCBBに関しては同じメディアを使用するため、どうやって切り替えるのかが謎でした。今回は実際にどうやってCB・CBBを切り替えるのかを見てみようと思います!

― その前に…。

CB(CBB)とは

CB(Current Branch)はWindows 10から新しく登場した3つのサービシングモデルのうちの1つで、常に最新の機能が提供されるモデルであり、Microsoftが最も推奨しているモデルです。CBは主にコンシューマー向けで、新機能がリリースされるたびに自動で更新され、常に最新の状態が保たれるモデルです。しかし、企業向けのPCは業務系アプリなどの互換性も考慮しなければいけないのに、勝手に機能更新をされてしまうと困りますよね。そこで企業向けに用意されたのが、CBB(Current Branch for Business)です。CBBは、CBより少し遅れて新機能が配信されるモデルです。

さて、CB・CBBというモデルがあることはわかりました。では、実際にどうすればCBにするかCBBにするか選べるの?

― もう少しお付き合いください…!
実際の切り替え方法をお話しする前に、もう1度CBとCBBの違いを振り返ってみましょう。

CBとCBBの違い

この2つのモデルの違い、結論から言うと、新機能の適用を”リリース直後”にするか”ちょっと後”にするかの違いです。
新機能リリース後、

  • CBの場合はインターネットにつながった時点で新機能の更新が適用されます。(再起動のタイミングは設定可能)

CBの場合

  • CBBの場合はCBの新機能リリース約4か月後から新機能の更新が適用されるようになります。

CBBの場合

つまり、Windows Updateで更新される新機能の適用をリリース直後にする場合はCB、延期する場合はCBBとなります。

― さぁ、お待たせいたしました!

以上の情報をふまえて、実際の設定を見ていきましょう!

CBとCBBの切り替え方法

Windows 10(クライアントPC)上でCBとCBBを切り替える方法は2つあります。

  • ① 設定
  • ② ポリシー

① 設定

以下の項目からCBBに切り替える設定ができます。

スタートメニュー > 設定 > 更新とセキュリティ > Windows Update > 詳細オプション

設定

アップグレードを延期する
CB 無効(既定) 無効
CBB 有効 有効

対象レジストリ値

設定から「アップグレードを延期する」を設定した場合に変更されたレジストリを調査したところ以下が該当しました。
下記レジストリを直接編集することで以下の設定が適用されます。

① 設定 レジストリキー
無効 HKLM\software\microsoft\windowsupdate\UX\Settings\DeferUpgrade 0
有効 HKLM\software\microsoft\windowsupdate\UX\Settings\DeferUpgrade 1

② ポリシー

ローカルグループポリシーエディターの以下の項目からCBBに切り替える設定ができます。

コンピューターの構成 > 管理用テンプレート > Windowsコンポーネント > Windows Update > アップグレードを延期する

ポリシー

補足:ポリシー説明文

アップグレードを延期する
状態 未構成 / 有効 / 無効
対象 Windows 10 Server、 Windows 10、 Windows 10 RT 以降
説明 このポリシー設定を有効にした場合、ProおよびEnterprise SKUでは、次のアップグレード期間まで(少なくとも数か月)アップグレードを延期できます。
このポリシーを設定しなかった場合は、アップグレードが利用可能になるとすぐに取得され、更新ポリシーの一部としてインストールされます。
セキュリティ更新プログラムはこのポリシーの影響を受けません。利用可能なアップグレードの詳細については、windows.com/itproを参照してください。

対象レジストリ値

ポリシーから「アップグレードを延期する」を設定した場合に変更されたレジストリを調査したところ以下が該当しました。
下記レジストリを直接編集することで以下の設定が適用されます。

① 設定 レジストリキー
未構成 以下のキーが存在しない -
有効 HKLM\software\policies\microsoft\windows\windowsupdate\DeferUpgrade 1
無効 HKLM\software\policies\microsoft\windows\windowsupdate\DeferUpgrade 0

Windows 10向けのグループポリシー管理用テンプレート

上記ポリシー「アップグレードを延期する」はWindows 10上にローカルポリシーとして実装されているものであり、既存のWindows Server 2012 R2などのグループポリシーにはこの項目がありません。ドメインベースでWindows 10向けのグループポリシーを適用する場合は、Windows 10の管理用テンプレート(admxファイル)が提供されているので、こちらをドメインコントローラーの中央ストアに配置する必要があります。

参照元

番外編

Home エディションについて

今回はCBとCBBの切り替え方法について確認しましたが、実はCBBを適用できないエディションがあります。
それは、Windows 10 Homeエディションです。

① Homeエディションでは、設定の「アップグレードを延期する」が選べません。

Homeエディション

※実は、インストール直後の初回起動時には「アップグレードを延期する」オプションが存在するのですが、Windows Updateを実行すると上記のような設定画面に修正されます

② Homeエディションではグループポリシーエディターが使えません。

Homeエディションはドメイン参加などもできないので、ポリシーの設定は適用できません。

UIから設定できないとなると、レジストリからではどうでしょう…?

Homeエディションでもレジストリを編集するとCBBの適用ができてしまいます。

レジストリ編集

レジストリで「DeferUpgrade」を1(アップグレードの延期:有効)にしたところ、当該設定が無効であった場合には追加されていた新機能が追加されませんでした。このことからCBBが適用されていると考えられます。公式資料ではHomeエディションはCBのみの適用となると書かれているため、こちらについても設定画面同様今後のWindows Updateで何かしらの修正がかかる可能性はあるかもしれません。

まとめ ● CBBはWindows 10 Pro・Enterprise・EducationエディションでクライアントPCのUIから
  適用できます。
  ※2015年9月現在ではレジストリの編集をすることでHomeエディションにもCBBを適用できてしまう
   ようですが、公式には上記3つのエディションが対象とされています。
● 現在、クライアントPC上でCBとCBBを切り替える方法は2つあります。
  ① 設定
  ② ポリシー
● 上記2つの設定はレジストリからも編集することができます。

今回はクライアントPC上でCBとCBBの切り替えを行う方法を確認しました。実際にはSCCM・WSUS・Windows Update for Business*でも設定できるようになるとのことです。

*Windows Update for Business(WUfB)の新しい機能が今冬あたりでリリースされるとのことですが現時点ではごく限られた情報しか公開されておりません。WUfBでは従来のWSUSの代替となるような詳細設定ができるようになるとのことですが、具体的にどんな実装になるか、実際にどんな設定ができるかなどについて公式な情報は公開されていないとのことです。引き続き、リリースを楽しみに待ちたいと思います!

あとがき

第1回から第3回までWindows 10で登場したWindows as a Serviceという概念と、その概念に基づいて定義されたServicingモデルについて特集してきました。

Windows 10には魅力的な新機能が沢山搭載されていく予定ですし、その機能一つ一つを理解することももちろん大切だと思います。ただ、まずは機能が追加されたり強化されたりしていく仕組みになるということを理解しなければならないと思いました。これからのWindowsは常に進化し続けていくんだということ、そして、ユーザーはもちろんエンジニアもそのスタイルについていかざるをえない状況になっているなと深く感じました。私自身もワタワタするのではなく、いやぁワクワクするね!と、余裕な態度がとれるようになるまで精進してまいります。

(ソリューション事業部 MS基盤ビジネスユニット 池畑 沙姫)