DXでめざす未来:DXに取り組む理由

2021.10.15

  

概要

このコラムでは、最近、毎日ニュースで必ずその言葉を見かけるようになったDX(デジタルトランスフォーメーション)と、DXに企業が取り組むべき理由についてお話します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

経産省のDX推進ガイドライン[1] によると、DXは

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、 業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

と定義されています。

この短い文章の中に、2回も「変革」という強い言葉が出ていることに注意してください。

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変革: :現状を前提とせず、ゼロベースであるべき形に新しくすること。
改善: :現状の課題を良い方向に改めること。課題がない部分はそのまま。
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しかも、ビジネスモデルや組織や企業文化まで「変革」した結果、「顧客や社会のニーズを基に」「競争上の優位性を確立」するとあります。

「競争上の優位性」は、"コスト優位性"または"差別化要素"によって成立しますが、これをクリステンセンの破壊的イノベーションの概念に照らして考えてみましょう。

破壊的イノベーション ※『イノベーションのジレンマ』を参考に筆者作成

図:破壊的イノベーション
※『イノベーションのジレンマ』[2] を参考に筆者作成

持続的なイノベーションはPDCAサイクルを実直に回していくことで起こすことができます。
一方で、従来と次元が違うコスト優位性や、差別化要素での新市場開拓によって起こるのが、破壊的イノベーションです。

いかがでしょうか。
つまり、DXとは「まったく新しい会社に変わって、なんらかの破壊的イノベーションを起こすこと」と言い換えることができるのです。

ここまで読まれた方で、そんな乱暴なことを言われても俄かには信じられないと思われた方も多いと思います。
でも、実は、過去40年間、そんな乱暴な変化が起こり続けた業界があります。IT業界です。

クリステンセンの著作「イノベーションのジレンマ」にもIT業界で起きた多くの破壊的イノベーションの例があげられています。

ネットスケープ創業者のMarc Andreessen氏が、WSJに「Why Software is Eating the World」(なぜソフトウェアが世界を飲み込んでいくのか)という 記事を寄稿したのは2011年です[3]

2011年以降も、多くの業界が次々とソフトウェア(IT技術)に飲み込まれていっています。
その結果、IT業界で起きてきた乱暴な変化が、IT業界以外にも波及してきています。それがDXだともいえるのです。

企業がDXに取り組むべき2つの理由

  • 1)企業の持続的成長のため
    DXが、実はかなり乱暴なものだということをご理解頂けたと思います。
    そうすると、多くの皆さんは、何とか逃げられないものかという気持ちになると思います。
    ごく一部の業界や業種では、法規制などの影響で業界全体がDXに取り組まなくても市場規模がしばらく維持されるかもしれません。

    ですが、多くの業界や業種、特にグローバル企業が競合にいるような業界では、新興競合や、下手をすると自社と同格の競合がDXに成功して、従来の業界常識を覆すコスト低減や差別化要素を提示してくる可能性があります。

    DXは「変革」なので、実現するまでには時間が必要です。
    まずいと思ってからの取り組みでは、遅すぎるかもしれません。
  • 2)企業に社会的な変革も求められているため
    DXと並んでSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)という言葉も、最近ニュースで見る機会が増えています。
    SDGsが企業の果たす役割を重視していることもあり、エネルギー問題など自社の重点目標を定め、既に取り組みを開始されている企業も多いと思います。
    最近少しづつ認知を上げてきている"サーキュラーエコノミー"も、SDGsを実現するためのアプローチの1つです(DXコラム「DXでめざす未来:『サーキュラー・エコノミー』の紹介 - 前編 -」)。

    実は、企業がSDGsに取り組むとき、データやデジタル技術の活用が非常に有効なのです。
    SDGsを実現するためにDXに取り組む企業も増えてきています。

まとめ

今、多くの日本企業はDXに取り組み始めていると思います。
一方で、DXという馴染みのない概念に、つい尻込みしてしまう人も多いようです。

自社の事業を持続的に成長させていき、かつ、持続可能な社会を作り上げていくという社会的な責任を果たすためにも、不安を克服し、DXに取り組むべき時代が来ているのだと考えます。

参考