PDCAサイクルによる運用
NTTグループでは健康経営推進に係わる中期目標項目および単年度目標項目を設定し、各種施策を展開しています。
展開にあたっては、「健康経営計画の策定+健康目標の設定(P)」→「健康施策の策定・実施(D)」→「健康実績の把握・確認(C)」→「健康施策の効果検証(A)」とPDCAを回すことで、効果ある取り組みとしていきます。
健康経営のPDCAサイクル
健康課題と健康行動
健康課題
ミッションクリティカルなIT基盤のコンサルから開発、運用、保守等を担う当社のITエンジニア。多忙であることが多く、参画するプロジェクトの特性や状況によっては、残業や夜間の問合せ対応もあり、生活リズムを整えるのが難しい状況にあります。
そこで、健康の基本である「生活習慣を整える」ことに立ち返り、行動指針を明確にするとともに、心身の健康管理、働く環境の整備等の施策を講じています。
健康行動 ~5つの行動指針~
健康の保持・増進を目的として、適度な休養、栄養バランスの取れた食事、適度な運動に加え、禁煙、自己管理に取り組んでいます。
テーマと施策
1. 身体の健康保持・増進
健康管理 ~課題の把握と健康づくりに向けた意識づけ~
充実した健診項目
- 社員の健康が第一と考えより細やかな健康課題の把握のために、法定の健康診断よりも手厚い人間ドックとがん検診(胃、大腸、すい臓)を実施しています。
- 個人のニーズに応じたオプション検査を受診しやすくするため、30歳、35歳、40歳以上の社員、および管理職(年齢を問わず)を対象に、上限1万円分を会社で費用負担しています。
- 女性社員には婦人科系の検査も提供しています。
手厚いフォロー・制度
- 健康診断で要精密検査と判定された社員が検査や治療を放置しないよう、産業医・保健師と連携してフォローするとともに、特別休暇での受診や検査費用の会社負担といった制度を整備しています。
- メタボリックシンドロームやその予備群の社員が増加傾向にあるため、生活習慣病リスクの軽減に向け、食生活改善普及月間や健康を改善するウェアラブル端末で運動の習慣化等に取り組んでいます。
健診関連 |
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健康リテラシーの向上 |
先端健康チャンネル 健康セミナー(リアル&オンラインのハイブリッド開催) |
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生活習慣の改善 |
食生活の改善
運動習慣等の定着
禁煙・受動喫煙対策
食生活改善普及月間 オフィスコンビニ 喫煙ルームの定期閉鎖 「先端健康チャンネル」での禁煙の啓発(産業医、ゲスト社員出演) |
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感染症対策に関する取り組み ~事業継続のための迅速かつ万全な感染症対策~
- 新型コロナウイルス感染症の初期の発生状況から急速な感染拡大を想定し、事業継続計画(BCP)を早期に整備。国や東京都による緊急事態宣言発出の約2カ月前より本格的な対策を開始し、ミッションクリティカルな基盤系保守運用のサービス品質を落とすことなく、事業継続を達成してきました。
- 社員、ご家族、パートナー企業、お客様の生命を守ることを第一に考えるとともに、携わっているシステム開発・保守運用プロジェクトの事業継続を目指した取り組みが評価され、プロジェクトマネジメント学会2020年度「PM実施賞」を受賞しました。
感染症対策 |
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2. 心の健康 ~メンタルヘルス対策~
社員のメンタルヘルスリテラシー向上のための様々な取り組みを実施しています。
- 上司がメンバーの体調変化にいち早く気づき行動できるよう、ラインケア研修の実施、1on1ミーティングを実施。入社後の不安や悩みを解消してもらうために定期的に面談を実施し健康状態や不安事項の確認を行ってメンタル不調の早期発見に努めています。
- テレワーク主体の働き方になったことにより、運動不足やコミュニケーション不足の問題も発生。
パルスサーベイで健康・メンタル面の把握・管理を行うとともに、産業医・保健師と連携して面談を積極的に行い、各人の状況に応じた助言・指導を行っています。
コミュニケーション不足については、各組織での1on1や勉強会等のほか、対面形式での交流会や意見交換会を定期的に開催し、コミュニケーションの促進・繋がりの醸成を図っています。
健康教育 |
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サーベイ・面談 |
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コミュニケーション施策 |
野球サークル ゴルフサークル フットサルサークル 旅行サークル |
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3. 働く環境の整備
働き方改革 ~生産性向上を図る制度・環境の整備~
制度の整備
- 当社は、働き方改革の一環として2017年よりテレワークの導入・活用を進めてきました。
- 新型コロナウイルスの急速な感染拡大を機に全社員を対象にテレワーク勤務・フレックス制を導入し、柔軟な働き方ができる環境を整備。
- 積極的な取り組みが評価され、総務省令和3年度「テレワーク先駆者百選」に選定されました。
就業環境の整備
- 在宅勤務における生産性向上のため、社員の多様なニーズに対応するべく、個々人にとって最適なリモートワーク環境を選択・構築できるサービスを導入。
- オフィスは、経済産業省の勧める「健康を保持・増進する7つの行動」を念頭に、社員の心身の調和、パフォーマンスの最大化、コミュニケーションの活性化を図るエリア設計・レイアウトとしています。
働き方改革 |
制度・ツールの導入
就業環境の整備
ワークライフバランスの改善
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仕事と育児・介護との両立に向けた支援
大切な人財が仕事と育児・介護の両立に悩み離職してしまうことは、会社にとって大きな損失です。誰もがその能力を十分に発揮し、モチベーション高く成長し続けられるよう、法定基準を上回る「育児・介護休業制度」を導入するほか、様々な研修や制度を用意し、仕事と育児・介護を両立しながら働くことができる職場づくりを推進しています。
福利厚生
NTTグループは、これまで以上に働きやすい環境を整備していくため、随時、福利厚生メニューを見直しています。
2018年度には「NTT ベネフィット・パッケージ」として、育児・介護に関わる各種支援メニューを充実させました。例えば、育児については、居住地に合った保活支援などを実施する「育児コンシェルジュ」を導入したほか、各種育児補助金などのサービスも大きく充実させています。介護については、ケアマネージャーのマッチングを含め各種介護の相談に応える「介護コンシェルジュ」を導入し、介護全般に関わるサポートをしています。
情報発信/面談
社員向けのサイトで各種制度の内容や利用方法などを発信しています。
ライフステージが変化しても安心して働き続けられる職場環境が整備されていることを周知するため、全社員を対象とした育児や介護セミナーを開催しています。
また、各種制度の理解の深化・活用の促進を目的として、産休・育休を取得する本人および上司を対象に、育児復職者支援セミナーや面談も実施しています。
ライフステージに合わせた柔軟な働き方
様々なライフプランに対応できる制度を整えています。
結婚・育児・配偶者の転勤や介護等の事由による勤務地の変更を可能としており、在宅勤務やサテライト型シェアオフィス(全国47都道府県)を利用できます。
また、朝5時から勤務可能なコアタイムなしのフレックスタイムや分断勤務制度が整備されているため、育児や介護にかかる時間との調整を図りながら、柔軟に働くことが可能です。
法定を上回る各種制度
育児・介護と仕事との両立を支援するための制度を定めており、法定および他企業の水準を上回っている制度が多数あります。
育児制度(法定基準通りの制度は除く)※クリックで表を表示
介護制度(法定基準通りの制度は除く)※クリックで表を表示
労働安全衛生・リスクマネジメント
職場巡視
毎月、産業医・安全衛生委員会事務局による職場巡視を実施。「職場巡視報告書」を作成し、社内ポータルで全社員に周知するとともに、指摘事項については対応策・対応期限を明記し、期限までに是正する等して、職場環境の改善に取り組んでいます。
リスクアセスメント
23社と連携して災害防止協議会の活動を実施。定期的にリスクアセスメントを実施し、労働安全衛生に関するリスク確認を行っています。リスクがある場合は危険源の特定およびリスク評価のうえ、安全衛生委員会に報告するとともに、対策に関する協議を行い、再発防止に努めています。
労働災害対策
上記の取り組み等により日々労働災害の防止に努めていますが、発生してしまった場合には、速やかに必要な対応を行うとともに、安全衛生委員会に報告し、対策について協議。社内ポータルで全社員に対して注意喚起を行い、再発防止に取り組んでいます。
4. 女性の健康への取り組み
女性特有の健康問題に関するリテラシーの向上のためのセミナーや、相談窓口の設置、女性特有のがん検診の実施・費用補助、女性社員の繋がりを目的とした社内コミュニティ活動などを行っています。
社員が仕事と家庭の両立を図り、安心して⻑く働き続けられる環境づくりの一環として、不妊治療に取り組む社員が一定期間休暇を取れる制度を2024年7月に制定。女性もいきいきと長く働き続けられるような職場づくりを推進しています。
- 婦人科健診(子宮頸がん、乳がん検診や経腟超音波)の全額補助
- 生理休暇(有給)
- 産業医、保健師による相談窓口
- 妊婦への健康配慮(在宅勤務や体調不良時の勤務時間中の休憩など)
- 不妊治療サポート休暇(性別問わず)
- 女性の健康課題についてのセミナー開催(性別問わず)
- 10月のピンクリボンデーにCHOメッセージを全社員へ発信
- 子宮頸がん検診やHPVワクチンに関する保健師コラムを全社員へ発信
- 女性社員のコミュティ「Intelli女子部」
5. その他の福利厚生の充実
ダイバーシティの広がりや、高齢化社会において更なる増加が見込まれる介護の課題等に柔軟に対応し、社員やご家族がいきいきと生活できるよう、制度・環境の整備に取り組んでいます。
- 福利厚生サービス(健康/育児/介護/余暇支援等)への加入
- 旅行費用の補助金支給
- 在宅勤務中の被災に備えた災害対策備品の配付
- コミュニケーションの促進を目的としたCafeコーナーの設置
6. 社外に向けた健康経営の普及活動
自社内だけでなく、多方面のステークホルダーをはじめとする社外の方々にも「幸せ」で「健康」な状態でいきいきと活動してほしいという想いから、健康経営の普及活動として対外的な情報発信や講演・事例発表等を行っています。
書籍・機関誌への掲載 |
2022年度 書籍「こんな会社で働きたい ~ウェルビーイングな働き方を実践する健康経営企業編~」にて健康経営に関する方針・取り組みについて寄稿(発行:株式会社クロスメディア・パブリッシング) 2023年度 機関誌「職務研究」にてコミュニケーション施策等の取り組みについて寄稿(発行:一般社団法人 経団連事業サービス 人事賃金センター) 書籍「こんな会社で働きたい」 機関誌「職務研究」 |
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プロジェクトマネジメント学会での発表 |
2020年度 「新型コロナウイルス感染症に対する迅速かつ万全な全社的取り組み」 2021年度 「ワーク・エンゲージメント向上による標準プロセスの実施度改善活動」 2022年度 「コンプライアンス遵守に対する取り組みの一事例」 |
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セミナー登壇 |
2022年度 ウェルビーイング経営の取り組み紹介(株式会社PHONE APPLI社主催/ウェルビーイング経営セミナー) 2023年度 NTTデータ先端技術株式会社 安全大会開催(災害防止協議会に所属している23社向けに建設工事の安全意識向上に関する啓蒙活動) |
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アライアンス |
2023年度 「健康経営アライアンス」に参画 |
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健康経営各種指標の実績値
定期的に各種指標の実績を確認することで課題を把握し、次の計画策定に反映しています。
大項目 | 項目 | FY2019 | FY2020 | FY2021 | FY2022 | FY2023 | FY2024 目標値 |
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健康診断 | 定期健康診断受診率 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100% | |
精密検査受診率 | 19.1% | 34.1% | 37.3% | 51.3% | 51.1% | 40% | ||
特定保健指導完了率(退職者、休業者除く) | 94.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 93.5% | 100% | ||
有所見者率 | 57.8% | 60.8% | 42.3% | 25.7% | 38.9% | ハイリスク者の放置ゼロ | ||
ハイリスク者の管理(治療継続)率※1 | ー | 76.1% | 74.0% | 79.2% | 92.2% | ハイリスク者の放置ゼロ | ||
生活習慣 | 喫煙率 | 22.9% | 20.1% | 20.2% | 18.0% | 17.0% | 全国平均以下 | |
運動習慣者比率 | 27.5% | 27.9% | 23.6% | 27.1% | 27.7% | 30% | ||
ウォーキング大会参加率 | 12.2% | 14.2% | 15.3% | 17.6% | 16.0% | 20% | ||
睡眠十分者率 | 58.7% | 60.5% | 67.4% | 67.2% | 63.2% | 71% | ||
適正体重維持者率 | 65.5% | 62.2% | 61.2% | 60.7% | 60.4% | 全国平均以下 | ||
飲酒習慣率(殆ど飲まない) | 44.8% | 50.6% | 39.2% | 36.4% | 38.1% | 全国平均以下 | ||
セミナーの満足度 | 88.0% | 96.0% | 97.2% | 99.1% | 97.0% | 100% | ||
回数 | 2回 | 5回 | 7回 | 7回 | 19回 | ー | ||
平均参加率 | 75.0% | 33.5% | 34.5% | 38.8% | 42.0% | ー | ||
こころの健康 | ストレスチェック回答率 | 99.0% | 100.0% | 99.2% | 99.9% | 99.2% | 100% | |
ストレスチェック高ストレス者率 | 12.8% | 9.7% | 10.2% | 9.6% | 10.0% | 前年度以下 | ||
休業者の新規発生率 | 1.3% | 1.5% | 2.9% | 1.7% | 2.1% | 前年度以下 | ||
アブセンティーズム※2 | 1.6% | 1.1% | 1.9% | 1.6% | 1.6% | 前年度以下 | ||
測定人数 | 896人 | 943人 | 955人 | 986人 | 1053人 | ー | ||
回答率 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | ー | ||
プレゼンティーイズム※3 | ー | 15.4% | 16.9% | 24.4% | 24.7% | 全国平均以下 | ||
測定人数 | ー | 357人 | 295人 | 929人 | 1003人 | ー | ||
回答率 | ー | 38.1% | 30.1% | 99.9% | 99.2% | ー | ||
ワークエンゲージメント※4 | ー | 2.51点 | 2.5点 | 2.9点 | 2.9点 | 全国平均以上 | ||
測定人数 | ー | 841人 | 873人 | 929人 | 1003人 | ー | ||
回答率 | ー | 100.0% | 99.2% | 99.9% | 99.2% | ー | ||
社員意識調査回答率 | 83.0% | 92.0% | 93.0% | 85.4% | 85.9% | 100% | ||
ワーク・ライフ・ バランス等 |
時間外労働月80時間超人数率(千人率) | 0人 | 0人 | 3.1人 | 6人 | 5.7人 | 0人 | |
労働者の一月当たりの平均残業時間 | 20.3H | 22.7H | 24.3H | 24.6H | 23.6H | 30H未満 | ||
年次有給休暇取得率 | 82.3% | 70.5% | 77.3% | 82.2% | 82.3% | 切り捨て社員0人 | ||
在宅勤務希望者利用率 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | ||
離職率 | 6.2% | 6.3% | 7.7% | 6.0% | 4.8% | 前年度以下 | ||
安全対策 | 業務災害件数 | 1件 | 1件 | 0件 | 1件 | 1件 | 0件 | |
ヘルスリテラシー※5 | 情報収集 | ー | ー | ー | 4.1点 | 4.0点 | 前年度以上 | |
情報選択 | ー | ー | ー | 3.8点 | 3.8点 | 前年度以上 | ||
情報の理解及び人へ伝えられるか | ー | ー | ー | 3.5点 | 3.6点 | 前年度以上 | ||
情報をもとに健康改善のための計画や行動を決められるか | ー | ー | ー | 3.7点 | 3.5点 | 前年度以上 | ||
健康投資額 | 一人当たりの法定福利外費用 | ー | 133千円 | 157千円 | 121千円 | 151千円 | ー |
※1 測定方法:血圧180/110mmHg以上あるいは血糖値200mg/dl以上あるいはHbA1c8%以上者の治療継続率
※2 測定方法:メンタルによる疾病休業開始から暦30日以上の疾病休業者の割合
※3 測定方法:SPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大 1 項目版)
プレゼンティーイズム=100% - 回答値(病気やけががないときに発揮できる仕事の出来を100%として過去4週間の自身の仕事の評価)
※4 測定方法:新職業性ストレス簡易調査票
※5 測定方法:最高5点から最低1点で点数換算